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サーロインとヒレの違いは?脂と赤身でカロリー2倍超、選び方まで徹底解説

「サーロインとヒレって、どっちが高いんだっけ?」「ステーキで頼むならどっちが正解?」——精肉店やステーキ店のメニューで、この2つを前に迷った経験はありませんか。名前は知っていても、どこの部位で、味や脂、カロリーがどう違うのかまで説明できる人は多くありません。

結論から言うと、サーロインとヒレの最大の違いは「脂の量」と「肉の位置」です。サーロインは背中の外側にある脂ののったロースの一部、ヒレはその内側でほとんど動かない赤身の希少部位。同じ和牛でも、100gあたりのカロリーはサーロインがヒレの約2.2倍にもなります。だから「脂の甘みと霜降りを楽しみたい日はサーロイン」「やわらかい赤身を軽く食べたい日はヒレ」と、目的で選び分けるのが正解です。

この記事では、部位の位置・食感・カロリー・値段・焼き方・選び方まで、サーロインとヒレの違いを丸ごと整理します。読み終えるころには、お店でも売り場でも迷わず自分好みの一枚を選べるようになります。

📌 この記事でわかること

・サーロインとヒレの位置・食感・脂の違い
・カロリーとタンパク質の具体的な数値比較(文部科学省データ)
・値段の差が生まれる理由と、部位ごとの焼き方の正解
・スーパー・焼肉店での見分け方とシーン別の選び方

目次

サーロインとヒレの違いは位置と脂|まず知りたい3つの軸

サーロインとヒレは、どちらも牛肉の高級部位の代表格です。ただし性格はほぼ正反対。ざっくり言えば「脂と霜降りのサーロイン」対「赤身とやわらかさのヒレ」です。ここではまず、位置・食感・脂という3つの軸で全体像をつかみましょう。この3点を押さえれば、あとの栄養や値段の話もスッと理解できます。

背中の外側と内側|そもそも取れる場所が違う

2つの決定的な違いは「牛のどこにあるか」です。サーロインは牛の腰から背中の後方、リブロースの後ろ・ランプの前に位置するロース(背中の肉)の一部。背骨の外側についた大きな筋肉です。一方ヒレは、そのサーロインの内側、腰椎(背骨)を挟んだ内側にある細長い筋肉で、テンダーロイン・ヘレ・フィレとも呼ばれます。つまりサーロインとヒレは背骨を挟んで外と内で隣り合っているのです。この位置の差が、後述する運動量・脂・やわらかさのすべてを決めています。牛の部位区分は農林水産省の資料でも図解されており、両者がロース周辺の別部位として扱われているのが確認できます。

サシがとろけるか、赤身がほどけるか|食感の方向性

食感は「とろける」サーロインと「ほどける」ヒレ、と覚えると分かりやすいです。サーロインはサシ(脂肪交雑)が細かく入りやすく、加熱すると脂が溶けて口の中でとろける濃厚な食感になります。噛むほどに脂の甘みと肉の旨味が広がるのが持ち味です。対してヒレは、ほとんど運動しない筋肉なので繊維がきめ細かく、赤身なのに驚くほどやわらかい。噛むというより舌でほどけるような軽い口当たりで、脂が少ないぶん後味がすっきりしています。同じ「やわらかい」でも、脂でとろけるのがサーロイン、繊維の細かさでやわらかいのがヒレ、と質が違うわけです。

脂の量が真逆|だから味の濃さも変わる

脂の量は両者で真逆です。サーロインは霜降りが入りやすく、脂の甘みとコクで「食べごたえのある濃い味」。ヒレは脂が少ない赤身で、肉本来の鉄っぽい旨味を「軽く上品に」味わう部位です。この差はそのまま向いている食べ方にも表れます。サーロインは1枚でも満足感が高く、ステーキや厚切り焼肉で脂を楽しむのに向く一方、ヒレは脂もたれしにくいので厚めのステーキでもペロリと食べられます。注意したいのは、霜降りのサーロインは脂が多いぶん胃にもたれやすいこと。年齢や体調によっては「サーロインは半分でいい」という人も少なくありません。

一頭からの量が段違い|希少性の違い

もう一つの重要な違いが「取れる量」です。サーロインは背中の大きな筋肉なので1頭からまとまった量が取れ、流通量も安定しています。対してヒレは1頭から取れるのがおよそ3%ほど、重さにして左右2本で数kg程度しかない希少部位。しかも細長い形で、成形するとロスも出ます。この「量の少なさ」が、後で解説する価格差の最大の理由です。さらにヒレの中心部だけを切り出した部分は「シャトーブリアン」と呼ばれ、1頭から約600gしか取れない超希少部位。同じヒレでも、部分によって呼び名と価値が変わるのも面白いところです。

比較項目 サーロイン リブロース ヒレ
位置 腰〜背中の後方(外側) 背中の中央(外側) サーロインの内側
脂・サシ 多め・霜降り 最も多い・濃厚 少ない・赤身
食感 脂がとろける こってり柔らか 繊維が細かくほどける
希少性・価格帯 高いが流通は安定 高い 最も高い傾向・希少
🥩 部位スペックカード:サーロイン

部位の位置 牛の腰〜背中の後方、ロース(背中)の一部
カロリー(100gあたり) 和牛・脂身つき460kcal/国産(乳用肥育)313kcal
タンパク質・脂質 和牛:たんぱく質11.7g/脂質47.5g
食感・味の特徴 サシがとろける濃厚な旨味、脂の甘み
1頭からの取れる量目安 背中の大きな筋肉でまとまって取れる
おすすめ調理法 厚切りステーキ、厚切り焼肉

※栄養数値の出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。部位の位置は農林水産省の部位解説を参照。

カロリーとタンパク質、栄養で選ぶならどっち?

「ダイエット中だけど、たまには良い肉が食べたい」——そんなときに知っておきたいのが、サーロインとヒレの栄養差です。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値で比べると、両者は同じ牛肉とは思えないほど違います。ここでは100gあたりの具体的な数字で、栄養面の違いをはっきりさせます。

サーロインは脂質が主役|霜降りほど高カロリー

サーロインは脂質がカロリーの主役です。和牛サーロイン(脂身つき)は100gあたり460kcal、脂質は47.5gと、実に半分近くが脂。たんぱく質は11.7gと、高級部位のわりに控えめです。これは霜降りの脂が多いぶん、相対的に赤身(=たんぱく質)の割合が下がるため。同じサーロインでも国産の乳用肥育牛(いわゆる国産牛)なら313kcal・脂質27.9gと和牛よりぐっと軽くなります。つまり「サーロイン=高カロリー」は霜降りが強い和牛で顕著、ということ。カロリーを気にするなら、和牛の霜降りより赤身寄りの国産サーロインを選ぶ、あるいは量を控えめにするのが現実的です。

ヒレは高タンパク低脂質|筋トレ勢の味方

ヒレは「高タンパク・低脂質」の代表格です。和牛ヒレ(赤肉)は100gあたり207kcal・たんぱく質19.1g・脂質15.0g。輸入牛のヒレならさらに軽く、123kcal・たんぱく質20.5g・脂質はわずか4.8gです。同じ100gでたんぱく質量はサーロインより多く、脂質は数分の1。体づくりや減量中に「肉の満足感は欲しいけれど脂は抑えたい」という人に向いています。赤身主体なので噛みごたえもあり、少量でも食べた実感が得やすいのも利点です。ヒレステーキが「贅沢なのに罪悪感が少ない一皿」と言われるのは、この数字が理由です。

実は鉄・亜鉛はヒレが優秀|赤身の隠れた強み

意外と知られていないのが、鉄や亜鉛といったミネラルはヒレのほうが多い傾向にあること。和牛ヒレは100gあたり鉄2.5mg・亜鉛4.2mg。対して和牛サーロインは鉄0.9mg・亜鉛2.8mgと少なめです。これは鉄や亜鉛が主に赤身(筋肉)に含まれる栄養だから。脂の多いサーロインは、その分だけ赤身の割合が減り、ミネラルも薄まるのです。「高い肉=栄養も上」と思われがちですが、鉄や亜鉛で見れば赤身のヒレに軍配が上がります。貧血が気になる人や、栄養密度を重視したい人にはヒレが向いている、というのは覚えておいて損はありません。

ダイエット中はどう選ぶ?|量と部位のバランス

減量中の選び方の結論は「ヒレを基本に、サーロインは量で調整」です。同じ200gを食べるなら、輸入ヒレなら約246kcalですが、和牛サーロインだと920kcalに達します。脂質量にすると10g弱と95gで、差は歴然です。とはいえサーロインの脂の甘みは他では代えがたい魅力。おすすめは「サーロインを食べたい日は100g前後に抑え、副菜を野菜中心にする」「たっぷり食べたい日はヒレにする」という使い分けです。脂を完全に断つより、部位と量でコントロールするほうが続けやすいもの。数字を知っておけば、罪悪感なく良い肉を楽しめます。

項目(100gあたり) 和牛サーロイン 和牛ヒレ 輸入ヒレ
エネルギー 460kcal 207kcal 123kcal
たんぱく質 11.7g 19.1g 20.5g
脂質 47.5g 15.0g 4.8g
0.9mg 2.5mg 2.8mg
亜鉛 2.8mg 4.2mg 2.8mg

お肉の教科書調べ(出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。サーロインは脂身つき、ヒレは赤肉の値)

🥩 部位スペックカード:ヒレ

部位の位置 サーロインの内側、腰椎を挟んだ細長い筋肉
カロリー(100gあたり) 和牛・赤肉207kcal/輸入牛・赤肉123kcal
タンパク質・脂質 和牛:たんぱく質19.1g/脂質15.0g
食感・味の特徴 繊維が細かく舌でほどける、上品な赤身の旨味
1頭からの取れる量目安 1頭の約3%(中心部のシャトーブリアンは約600g)
おすすめ調理法 レア〜ミディアムレアのステーキ

なぜヒレのほうが値段が高いの?希少性のカラクリ

売り場やメニューを見ると、多くの場合ヒレのほうがサーロインより高値です。「赤身で脂が少ないのに、なぜ高い?」と不思議に思う人もいるはず。答えはシンプルで、味の格ではなく「取れる量」で値段が決まっているからです。ここでは価格差の理由と、賢い買い方の考え方を整理します。※価格は時期・産地・等級で変動するため、具体額は売り場の表示でご確認ください。

希少性が価格を決める|取れる量が段違い

ヒレが高い最大の理由は希少性です。前述の通り、ヒレは1頭からおよそ3%しか取れません。牛1頭の枝肉が数百kgあっても、ヒレは左右2本で数kg程度。一方サーロインは背中の大きな筋肉で、まとまった量が安定して取れます。需要は両方とも高いのに、供給量に大きな差がある——だからヒレの単価が上がるのです。特にヒレ中心部のシャトーブリアンは1頭から約600gしか取れず、さらに高値になります。「脂が少ない=安い」ではなく「量が少ない=高い」。この原則を知っておくと、値札を見たときの納得感が変わります。

サーロインの値段が動く要因|和牛か輸入か、等級か

サーロインの価格は「牛の種類」と「等級」で大きく動きます。同じサーロインでも、A5等級の黒毛和牛と輸入牛では単価が何倍も違います。霜降りが細かく入るほど等級が上がり、価格も上がる仕組みです。逆に言えば、赤身寄りの国産牛や輸入牛のサーロインを選べば、サーロインならではの脂の旨味を手頃な価格で楽しめます。「サーロイン=高い」と一括りにせず、和牛・国産・輸入という区分で見ると、予算に合わせた選択肢が一気に広がります。家焼肉で厚切りを楽しみたいなら、等級を1〜2段下げるのも賢い選び方です。

グラム単価で考える|満足度あたりのコスパ

買うときに役立つのが「グラム単価」と「満足度」で考える視点です。ヒレは単価こそ高いものの、脂が少なく胃にもたれにくいので、少量でも満足しやすい部位。逆にサーロインは単価が抑えめでも、脂が多く1枚を食べ切るのが重い場合があります。「たっぷり食べたいならサーロインを少し等級を落として量で」「特別な日に上質な一枚を軽く楽しむならヒレを少量で」と、単価だけでなく食べる量とのバランスで選ぶと後悔しません。値段の高低より、その日の目的に合うかどうかで判断するのがコツです。

Q. ヒレはサーロインより脂が少ないのに、どうして高いんですか?
A. 味や脂の量ではなく「希少性」で決まっているからです。ヒレは牛1頭から約3%(左右2本で数kg程度)しか取れない希少部位。需要が高いのに供給が少ないため、単価が上がります。脂の量と価格は必ずしも比例しません。

シャトーブリアンはヒレのどこ?意外と知らない中身の話

ヒレの話をすると必ず出てくるのが「シャトーブリアン」という言葉。高級ステーキの代名詞として耳にしますが、実はこれ、独立した部位ではなくヒレの一部分を指す呼び名です。ここを知っておくと、メニューの見え方がガラッと変わります。サーロインとヒレの違いをさらに深掘りする意味でも押さえておきましょう。

シャトーブリアンはヒレの中心部|最も太い一等地

シャトーブリアンは、細長いヒレの中央にある最も太い部分を切り出したものです。ヒレ全体がやわらかい中でも、この中心部はきめ細かさとやわらかさが際立ち、ヒレの中の一等地と呼ばれます。1頭から取れるのは約600gほど。ヒレ自体が希少なうえ、そのごく一部だけを指すため、「幻の部位」と表現されるのも納得です。つまりシャトーブリアン=ヒレの最上部分であって、サーロインとは別物。ステーキ店で「シャトーブリアン」とあれば、それはヒレの中でも特別な中心部を出している、というサインです。

テートとフィレミニョン|ヒレは3つに分けられる

ヒレは太さで大きく3つに区分されます。お尻側の太い端が「テート(頭)」、中央の最も太い部分が「シャトーブリアン」、先端の細い部分が「フィレミニョン」です。テートはボリュームがあり、フィレミニョンは小ぶりで火が通りやすいのが特徴。同じヒレでも部分によって形と食感の均一さが変わり、名前も変わります。フランス料理由来のこれらの呼び名を知っておくと、メニューの表記から「ヒレのどのあたりを使っているか」を読み取れるようになります。ヒレ=一枚岩ではなく、位置ごとにグレードがあるわけです。

サーロインに“シャトーブリアン”はない|混同しやすい落とし穴

意外と多いのが「シャトーブリアン=最高級ステーキの総称」という誤解です。シャトーブリアンはあくまでヒレ中心部を指す言葉で、サーロインに同じ呼び名の部位はありません。サーロインの高級版を指すなら「A5サーロイン」など等級で表現します。ここを混同すると、注文時に「サーロインのシャトーブリアンをください」といった通じない頼み方になってしまいます。シャトーブリアンは赤身のヒレ、サーロインは霜降り——ベースの部位がそもそも違う、と整理しておけば安心です。呼び名の由来を知っておくと、お店での会話もスマートになります。

📌 シャトーブリアンの位置づけ

シャトーブリアンは「ヒレの中心部」を指す呼び名で、独立した部位でもサーロインの一部でもありません。ヒレはテート(お尻側)→シャトーブリアン(中央)→フィレミニョン(先端)の順に並び、中央が最も希少です。

焼きすぎ厳禁!サーロインとヒレの違いで変わる焼き方の正解

サーロインとヒレの違いは、焼き方にもそのまま表れます。脂の多いサーロインと赤身のヒレでは、目指す火入れがまるで違うのです。ここを間違えると、せっかくの良い肉が台無しに。両者の焼き方の正解と、やりがちな失敗を具体的に見ていきましょう。まずは共通の下ごしらえから。

共通の下ごしらえ|常温戻しと下味のタイミング

どちらの部位も、おいしく焼く土台は「常温に戻す」ことです。冷蔵庫から出したては中心が冷たく、外だけ焼けて中は生焼け…になりがち。焼く30分前を目安に室温に戻しておくと、火の通りが均一になります。塩・こしょうの下味は焼く直前が鉄則。早く振りすぎると塩の作用で肉汁が外に出て、パサつきの原因になります。フライパンや網はしっかり予熱してから肉をのせるのも共通のコツ。この基本を守るだけで、家庭でも仕上がりが一段変わります。ここから先が、サーロインとヒレで分かれます。

サーロインは脂を活かす|強めの火で香ばしく

サーロインは脂を味方につける焼き方が正解です。脂が多いぶん、強めの火で表面をしっかり焼き付け、香ばしい焼き色(メイラード反応)をつけると脂の甘みが引き立ちます。厚さ2cm程度なら、強火で片面を1〜2分ずつ焼いて焼き色をつけ、あとは弱めて好みの火加減へ。目安はミディアムレア〜ミディアムです。脂の縁は立てて焼くと余分な脂が落ち、くどさが和らぎます。焼いた後は3〜5分ほど休ませてから切ると、肉汁が全体に行き渡ってジューシーに。サーロインは多少火を入れても脂がうるおいを保つので、ヒレほど神経質にならなくて大丈夫です。

ヒレは焼きすぎ厳禁|レア寄りで一気に仕上げる

ヒレの焼き方で最も大事なのは「焼きすぎない」こと。脂が少ない赤身は火を入れすぎるとパサついて固くなり、やわらかさという最大の持ち味が失われます。目指すのはレア〜ミディアムレア。厚さ2〜3cmなら、強火で表面を各面30秒〜1分ずつ焼いて香ばしい膜を作り、中心は温かいけれど赤みが残る状態で止めます。焼いた後にアルミホイルで包んで数分休ませ、余熱でじんわり火を入れるとしっとり仕上がります。ヒレは「攻めすぎず、余熱を使う」が合言葉。厚切りほどこの余熱調理が効くので、あえて厚めを選ぶのもおすすめです。

🔥 ヒレステーキの焼き方の手順

Step1:焼く30分前に冷蔵庫から出し、常温に戻す
Step2:焼く直前に塩・こしょうを振る(早すぎると肉汁が出る)
Step3:フライパンを十分に熱し、強火で各面30秒〜1分ずつ焼き色をつける
Step4:中心が赤み〜ロゼの状態で火から下ろす(焼きすぎ厳禁)
完成! アルミホイルで包んで3〜5分休ませ、余熱でしっとり仕上げる
⚠️ 失敗パターン①:ヒレを焼きすぎて固くパサつく

ヒレ最多の失敗が「火の入れすぎ」。脂が少ない赤身は加熱しすぎると水分が抜け、ゴムのように固くなります。原因は冷たいまま焼く・弱火でだらだら焼く・焼いた後すぐ切ること。対策は常温に戻し、強火で短時間で表面を焼き、余熱で仕上げてから休ませて切ること。「もう少し」で止める勇気が正解です。

スーパー・焼肉店での見分け方とシーン別の選び方

知識がついたら、次は実践編。売り場やメニューで「これはサーロイン、これはヒレ」と見分けられると、買い物も外食も失敗しにくくなります。ここでは見た目の見分け方から、シーン別・タイプ別のおすすめまで、実際の選び方に落とし込みます。もう一つのやりがちな失敗も紹介します。

スーパーでの見分け方|サシの入り方と形を見る

売り場での見分けは「サシの入り方」と「形」がポイントです。サーロインは大きめの一枚で、細かい霜降りが全体に網目状に入り、外周に脂の層がついていることが多いです。ヒレは小ぶりで丸みのある断面、赤身が主体でサシがほとんど見えないのが特徴。表示ラベルに「サーロイン」「ヒレ(フィレ・テンダーロイン)」と書かれているので、まずはそこを確認しましょう。赤身なのに表面がしっとりなめらかで、繊維が細かく見えればヒレの可能性が高いです。同じ「ステーキ用」でも、脂の見え方で用途がまったく違うと覚えておくと選びやすくなります。

焼肉店・ステーキ店での注文|表記から質を読む

お店では「表記」から中身を読み解けます。ステーキ店で「シャトーブリアン」とあればヒレの中心部、「サーロインステーキ」なら霜降りの一枚、と部位が特定できます。焼肉店ではサーロインが厚切りで供されることが多く、ヒレはあっさり系のメニューに置かれがち。等級(A5、A4など)が併記されていれば、霜降りの強さの目安になります。脂を楽しみたい日はサーロインやリブロース、軽く上質にいきたい日はヒレ、と目的で選ぶのが失敗しないコツ。メニューの部位名と等級表記を見るクセをつけると、注文の精度が上がります。

シーン別の選び方|誰と・どんな日に食べるか

選び方はシーンで変えると満足度が上がります。がっつり食べたい・育ち盛りと一緒なら、脂で満足感の高いサーロインを厚めに。記念日に上質な一枚を軽く楽しむなら、やわらかいヒレやシャトーブリアン。ダイエット・筋トレ中なら高タンパク低脂質のヒレ(特に輸入牛)。脂が重く感じる年代には、もたれにくいヒレか赤身寄りの国産サーロインが向きます。同じ「良い肉を食べる日」でも、誰と・どんな体調で食べるかで正解は変わります。人数や好みに合わせて2種類を少量ずつ用意し、食べ比べるのも家焼肉ならではの楽しみ方です。

⚠️ 失敗パターン②:霜降りサーロインを選んで脂もたれ

「高い=良い」で最高等級の和牛サーロインを選び、脂が重くて食べ切れない——これもよくある失敗です。原因は脂の量を考えず等級だけで選ぶこと。和牛サーロインは脂質が100gあたり47.5gと半分近くが脂です。対策は、たっぷり食べたい日は等級を1〜2段下げるか赤身寄りの部位にし、霜降りは少量を味わう前提で選ぶこと。

買ったあとが勝負|保存と加熱で失敗しないコツ

良いサーロインやヒレを手に入れても、保存や加熱を間違えると味も安全も損なわれます。特に加熱は食中毒予防に直結する大切なポイント。ここでは家庭でできる保存のコツと、公的機関が示す加熱の考え方を整理します。せっかくの一枚を、おいしく安全に食べ切りましょう。

冷蔵・冷凍の保存|ドリップを出さないひと工夫

肉のおいしさを守る鍵は「ドリップ(赤い液)を出さないこと」です。冷蔵する場合は、買ってきたトレーのままより、ドリップを軽く拭き取ってラップで包み直すと臭みが出にくくなります。すぐ使わないなら冷凍が基本。1枚ずつラップで包み、空気を抜いて保存袋に入れると酸化と冷凍焼けを防げます。厚いステーキ肉は急速に凍らせるほど品質が保たれるので、金属トレーにのせて冷凍するのがおすすめ。消費期限内でも、購入後は早めに使い切るのが安心です。保存期間は肉の状態や冷蔵庫の環境で変わるため、パッケージの表示を目安にしてください。

解凍のコツ|冷蔵庫でゆっくりが正解

冷凍した肉は「解凍」で味が決まります。おすすめは冷蔵庫でのゆっくり解凍。前日に冷蔵室へ移し、時間をかけて戻すとドリップが出にくく、うまみを保てます。急ぐときは、保存袋のまま流水にあてる方法も。常温放置や電子レンジの急解凍は、外だけ温まって中が凍ったまま、あるいは部分的に加熱ムラが出やすく、食感も落ちがちです。解凍後は再冷凍せず使い切るのが鉄則。一度溶けた肉を再び凍らせると、品質も安全性も下がります。ステーキにするなら、解凍後さらに常温に戻してから焼くと、火の通りが均一になります。

加熱の目安と安全|一枚肉と成形肉は分けて考える

加熱で押さえたいのは「一枚肉と成形肉は分けて考える」ことです。農林水産省などによると、ステーキ用の一枚肉は細菌が主に表面にいるため、表面をしっかり焼けば中心がレアでも比較的リスクは低いとされます。一方、サイコロステーキなどの成形肉や、テンダライズ(筋切り)・タレに漬け込んだ肉は、加工の過程で細菌が内部まで入り込む可能性があるため、中心部までしっかり加熱するよう公的機関が呼びかけています。ひき肉も同様です。中心部の加熱の目安は75℃で1分間以上。「ヒレやサーロインの一枚肉」と「成形・加工された肉」で扱いが違う点を、しっかり区別しておきましょう。

⚠️ 注意:成形肉・加工肉は中心までしっかり加熱を

サイコロステーキなどの成形肉、筋切りやタレ漬けをした肉、ひき肉は、細菌が内部に入り込んでいる可能性があるため、中心部まで(75℃で1分間以上が目安)加熱してください。判断に迷うときは、農林水産省厚生労働省の情報をご確認ください。

まとめ:脂の甘みか赤身の旨味か、自分に合う一枚の選び方

🥩 この記事の結論

サーロインは背中外側の霜降り、ヒレは内側の赤身で、性格は真逆。脂の甘みを楽しむ日はサーロイン、やわらかい赤身を軽く味わう日はヒレを選べばOKです。

✅ 要点チェック

  • 位置:背骨を挟み外がサーロイン・内がヒレ
  • カロリー:和牛はサーロインがヒレの約2.2倍
  • 栄養:ヒレは高タンパクで鉄・亜鉛も多め
  • 値段:ヒレは希少で高い(1頭の約3%)
  • 焼き方:ヒレは焼きすぎ厳禁・余熱で仕上げる

サーロインとヒレは、どちらが上ということではなく「目的が違う部位」です。濃厚な脂の満足感が欲しい日はサーロイン、やわらかさと軽さ、栄養バランスを取りたい日はヒレ。まずは次にスーパーへ行ったとき、ラベルの部位名とサシの入り方を見比べるところから始めてみてください。それだけで、肉選びの解像度がぐっと上がります。

※栄養数値は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に基づきます。価格・等級・在庫は時期により変動するため、最新情報は各売り場・公式情報でご確認ください。

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この記事を書いた人

『お肉の教科書』編集部。牛肉・豚肉・鶏肉の部位やホルモンの種類、焼肉をおいしく食べるコツ、お肉の選び方を、公的機関の情報や一次情報をもとにわかりやすく解説しています。

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