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焼肉店のメニューでたまに見かける「トウガラシ」。辛い唐辛子を思い浮かべて「え、これお肉なの?」と戸惑った経験はありませんか。実はトウガラシは、牛一頭からわずか2〜3kgしか取れない、知る人ぞ知る赤身の希少部位の名前なんです。
結論から言うと、トウガラシは牛の肩甲骨まわり(ウデ)にある赤身肉で、形が唐辛子にそっくりだからこの名前が付きました。関西の食肉業者さんの間では「トンビ」とも呼ばれ、英語では「チャックテンダー」。脂は少なめなのに噛むほど濃厚な旨味が出る、赤身好きにはたまらない部位です。
この記事では、トウガラシ部位が牛のどこにあるのかという位置の話から、100gあたりのカロリー・タンパク質といった栄養、失敗しない焼き方、似た希少部位との違い、そして安全に楽しむための下ごしらえまで、焼肉好きの友人が隣で教えるつもりで一気に解説します。読み終わるころには、精肉店で「トウガラシありますか?」と自信を持って聞けるようになっているはずです。
・トウガラシ部位が牛のどこにあるか(肩甲骨・ウデの位置と筋肉名)
・100gあたりのカロリー・タンパク質・脂質を数値で比較
・パサつかせない焼き方と、ローストビーフに向く理由
・ミスジ・ザブトンなど似た希少部位との違いと選び方
トウガラシ部位とはどこ?肩甲骨まわりの赤身希少部位を図解

まずは「トウガラシ部位が牛のどこにあるのか」をはっきりさせましょう。ここを押さえておくと、精肉店やお取り寄せで迷わなくなります。位置・名前の由来・別名・筋肉の構造の順に見ていきます。
一頭から2〜3kgだけ、トウガラシの正確な位置
トウガラシは、牛の前脚の付け根にあたる「かた(ウデ)」のうち、肩甲骨のすぐそばからとれる細長い赤身肉です。体を支えるためによく動く筋肉なので、赤身がしっかり詰まっています。取れる量は一頭(枝肉のもとになる牛でおよそ400kg級)から左右に1本ずつ、合わせても2〜3kg程度。牛全体から見れば1%にも満たない量です。だからこそ「希少部位」と呼ばれ、スーパーの精肉コーナーではまず見かけません。焼肉店でも常時あるとは限らず、入荷した日だけ黒板メニューに登場する、といった扱いになりがちです。見つけたら迷わず頼む価値がある、というのが赤身好きの共通認識です。位置を知っておくと、精肉店で「ウデの肩甲骨まわりの赤身、トウガラシありますか」と具体的に聞けるので取り寄せの成功率が上がります。

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名前の由来は「唐辛子そっくりの形」
「トウガラシ」という名前を聞くと辛い野菜を連想しますが、味とは一切関係ありません。由来は純粋に見た目です。肩甲骨に沿って筋引き(余分な脂やスジを外す作業)をすると、先が細く根元がふっくらした、まさに唐辛子のような形の塊が残ります。この形状から食肉の現場で「トウガラシ」と呼ばれるようになりました。牛肉の部位名には、ザブトン(座布団のように四角い肩ロースの一部)、ネクタイ(首元の細長い部位)のように、見た目をそのまま名前にした通称が数多くあります。トウガラシもその仲間です。農畜産業振興機構(ALIC)も、こうした形にちなんだ部位の通称としてトウガラシ・ザブトン・ネクタイを紹介しています。名前の由来を知っておくと、「辛いの?」という誤解も解けますし、話のネタとしても盛り上がります。
別名トンビ・チャックテンダーとの関係
トウガラシには複数の呼び名があります。関西や食肉業者の仕入れの現場では「トンビ」と呼ばれることが多く、これはトウガラシと同じ部位を指す別名です。英語では「Chuck Tender(チャックテンダー)」。Chuckは肩まわり、Tenderは柔らかいという意味で、肩の中では柔らかい部類という位置づけがそのまま名前になっています。つまり、トウガラシ=トンビ=チャックテンダーは、すべて同じ肩甲骨まわりの赤身を指しています。お店やお取り寄せサイトによって表記が違うだけなので、「トンビ」と書いてあっても身構える必要はありません。逆に言うと、この3つの呼び名を覚えておけば、どの表記で売られていても同じ部位だと見抜けます。ややこしいのは、地域や店によって微妙に呼び分けるケースがあること。心配なら「肩甲骨まわりの赤身ですか?」と一言確認すれば確実です。
ウデ肉のどこ?「棘上筋」という筋肉
もう少し踏み込むと、トウガラシの主体になっているのは「棘上筋(きょくじょうきん)」という筋肉です。棘上筋は肩甲骨の上側にある筋肉で、前脚を前に振り出す動きを支えています。よく使われる筋肉のため、繊維は細かく密で、赤身の旨味が凝縮しやすいのが特徴です。同じウデには、ミスジ(肩甲骨の内側)、クリ(ウデの中心)などほかの希少部位も隣接していて、ウデ肉は「希少部位の宝庫」とも言われます。棘上筋という筋肉の名前まで知っておくと、精肉店の職人さんとの会話がぐっと深まります。ただし、筋肉名は専門的なので、通販や店頭では「トウガラシ」「トンビ」で通じれば十分です。構造を知る意味は、後で解説する「なぜ細かいスジがあるのに柔らかいのか」「なぜ焼きすぎるとパサつくのか」を理解する土台になる点にあります。
| 部位の位置 | 牛のかた(ウデ)、肩甲骨まわりの赤身(主体は棘上筋) |
| カロリー(100gあたり) | 約114kcal ※かた赤肉の参考値 |
| タンパク質・脂質 | タンパク質20.4g/脂質4.6g(100gあたり) |
| 食感・味の特徴 | 細かいスジ入りで歯切れがよく、あっさりしつつ濃厚な赤身の旨味 |
| 1頭からの取れる量目安 | 左右合わせて2〜3kg程度(希少) |
| おすすめ調理法 | レア〜ミディアムレアで焼く/ローストビーフ・たたき |
なぜ希少で人気なの?トウガラシならではの味と食感
位置がわかったところで、次はトウガラシの魅力の中身です。「希少だから人気」ではなく「美味しいから人気で、しかも希少」というのが正確なところ。食感・味・焼肉店での価値の3点から掘り下げます。
細かいスジ入りなのに歯切れがいい理由
トウガラシを実際に見ると、赤身の中に細かいスジ(結合組織)が走っているのがわかります。「スジが多い=硬い」と思われがちですが、トウガラシのスジは非常に細かく、繊維の一本一本が短いのが特徴です。そのため噛んだときに繊維がプツプツと切れ、歯切れがよく感じられます。よく動く棘上筋だからこそ繊維が締まっていて、この歯ざわりが生まれるわけです。硬いのではなく「かむ楽しさがある」赤身、と表現するとしっくりきます。ただし、大きなスジ(板状の筋膜)が残っていると口の中に残るので、下処理でそこだけ外すのがポイント。これは後半の下ごしらえの章で詳しく説明します。細かいスジは旨味と食感の源、大きなスジは取り除く対象、と区別して覚えておくと調理で失敗しません。
赤身なのに濃厚、あっさり旨味の正体
トウガラシは脂が少ない赤身なのに、噛むほど濃厚な旨味が広がります。この正体は、赤身に含まれるアミノ酸やイノシン酸といった旨味成分です。サシ(脂)の甘みで押してくるサーロインやカルビとは方向性が違い、肉そのものの味で勝負するタイプ。脂が少ないぶん後味は軽く、たくさん食べても胃にもたれにくいのも赤身部位の利点です。焼肉で脂の強い部位を食べ続けて「そろそろさっぱりしたい」と思ったタイミングにぴったりはまります。ここで一つ、意外と知られていない話を。実は「赤身=味が薄い」というイメージは誤解で、よく動く筋肉ほど旨味成分が蓄積しやすい傾向があります。トウガラシがあっさりなのに濃厚という一見矛盾した個性を持つのは、まさによく使われる肩の筋肉だからこそ。この逆説こそがトウガラシの人気の核心です。

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焼肉店で出会えたら頼むべき理由
トウガラシが焼肉店の定番メニューに載らないのは、単純に量が取れないからです。一頭から2〜3kgでは、毎日安定して提供するのは難しく、入荷した日だけの限定メニューになりがちです。だからこそ、黒板やその日のおすすめに「トウガラシ」「トンビ」の文字を見つけたら、それは幸運なタイミング。赤身の旨味をダイレクトに味わえる部位なので、まずは塩とわさび、レモンなどシンプルな味付けで頼むのがおすすめです。タレの甘辛さで食べるのも良いですが、初回はぜひ肉本来の味を確かめてほしいところ。希少部位というと身構えてしまいますが、味わいはクセがなく万人受けするタイプなので、赤身が好きな人はもちろん、脂が苦手な人にも自信を持ってすすめられます。出会えたら頼まない手はありません。
カロリー・タンパク質は?トウガラシの栄養を数値で解剖

ダイエットや筋トレでお肉を選ぶ人にとって、栄養の数値は重要な判断材料です。トウガラシは赤身部位なので、カロリー・脂質が低くタンパク質が高いのが強み。ここは文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値をもとに、正確に見ていきます。
100gあたり約114kcalの赤身、ヒレ・ももと比較
トウガラシそのものは成分表に個別収載がないため、同じ「かた(ウデ)赤肉」の公的な数値を参考値として使います。それによると、牛かた赤肉は100gあたり約114kcal。牛の赤身部位のなかでもかなり低カロリーの部類です。参考までに、輸入牛のもも赤肉は117kcal、ヒレ赤肉は123kcal。ヒレのような高級赤身部位と並んでも遜色ない軽さで、しかもトウガラシのほうがわずかに低い数値になっています。脂の甘みを楽しむ部位とは狙いが違い、「肉をしっかり食べたいけれどカロリーは抑えたい」という人に向いた部位だとわかります。ここで挙げた数値はいずれも生の状態のもの。焼くと水分と脂が落ちて重量あたりの数値は多少変わりますが、赤身が低カロリー寄りである傾向は変わりません。数字で見ると、トウガラシが赤身派に選ばれる理由がはっきりします。
高タンパク・低脂質、鉄と亜鉛もしっかり
トウガラシの栄養面での主役はタンパク質です。かた赤肉の参考値で100gあたりタンパク質20.4g、脂質はわずか4.6g。脂質が一桁グラムに収まる牛肉は多くないので、これは赤身部位ならではの数値です。さらに注目したいのがミネラル。かた赤肉には鉄が2.4mg、亜鉛が5.5mg含まれます(いずれも100gあたり)。鉄は貧血が気になる人に、亜鉛は味覚や免疫の維持に関わるミネラルとして知られ、赤身肉はこれらを効率よく摂れる食品です。脂質を抑えつつタンパク質とミネラルを確保したい人にとって、トウガラシは理にかなった選択と言えます。ただし、栄養は食べる量とのバランスが大切で、赤身だからいくら食べてもよいわけではありません。あくまで日々の食事全体で調整するのが基本です。正確な成分値は文部科学省の食品成分データベースで確認できます。
サーロインと比べると脂質は約5分の1(お肉の教科書調べ)
数値の差を実感してもらうために、脂の量が対極にある部位と並べてみましょう。下の表は、文部科学省・日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに、100gあたりの数値を「お肉の教科書」で比較したものです。トウガラシ(かた赤肉参考値)の脂質4.6gに対し、サーロイン(脂身つき)は23.7g。実に約5倍の開きがあり、カロリーも114kcalと273kcalで2倍以上違います。同じ牛肉でも部位によってここまで差が出るのは驚きです。赤身の旨味を軽く楽しみたいならトウガラシ、脂の甘みでガツンといきたいならサーロイン、と目的で選び分けるのが賢い付き合い方です。
| 部位(100gあたり) | カロリー | タンパク質 | 脂質 |
|---|---|---|---|
| トウガラシ(かた赤肉参考) | 114kcal | 20.4g | 4.6g |
| もも赤肉 | 117kcal | 21.2g | 4.3g |
| ヒレ赤肉 | 123kcal | 20.5g | 4.8g |
| サーロイン(脂身つき) | 273kcal | 17.4g | 23.7g |
※出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」より輸入牛肉の数値。トウガラシは個別収載がないため「かた赤肉」を参考値として掲載。
失敗しない焼き方は?レア〜ミディアムレアが鉄則
トウガラシは焼き方で味が大きく変わる部位です。赤身は火を入れすぎるとパサつくため、狙いは「レア〜ミディアムレア」。ここでは火加減と時間、ローストビーフへの応用、そしてやりがちな失敗を具体的に解説します。
焼きすぎ厳禁、火加減と時間の目安
トウガラシを焼くときの合言葉は「短時間・高温・触りすぎない」です。冷蔵庫から出したばかりの冷たい肉をいきなり焼くと中まで火が通る前に表面が焦げるので、焼く30分ほど前に室温に戻しておきます。網やフライパンは十分に熱してから肉をのせ、厚み1cm程度なら強めの中火で片面30秒〜1分ずつが目安。表面に肉汁がうっすら浮いてきたら裏返すサインです。両面に焼き色がついたら火から下ろし、アルミホイルなどで数分休ませると肉汁が全体に行き渡ります。赤身は火を入れるほど水分が抜けて硬くなるので、「もう少し焼きたい」と感じるくらいで止めるのがちょうどいい塩梅です。何度もひっくり返したり押さえつけたりすると肉汁が逃げるので、触るのは裏返す一回だけと決めておくと失敗しません。
ローストビーフ・たたきに向く理由と作り方のコツ
トウガラシは、赤身の旨味が凝縮していて脂が少ないため、ローストビーフやたたきに向く部位としてよく紹介されます。塊のまま低めの温度でじっくり火を入れると、しっとりとした赤身の断面に仕上がり、噛むほど旨味が出ます。家庭で作るなら、表面全体を強火でしっかり焼き固めてから、余熱やオーブンで中心まで穏やかに火を通すのがコツ。表面を焼くのは香ばしさを出すと同時に、後述する食中毒予防の観点でも重要です。切るときは繊維を断つ向きに薄くスライスすると、歯切れのよさが際立ちます。ただし、家庭のローストビーフやたたきは中心部の加熱が不十分になりやすい調理法でもあります。安全に楽しむための注意点は後半の章でまとめて解説するので、そちらも必ず確認してください。旨味を活かす調理法だからこそ、火入れの安全管理はセットで覚えておきましょう。
【失敗パターン1】強火で焼き固めてパサパサに
トウガラシで一番多い失敗が、「良い肉だから」と気合を入れて長く焼きすぎ、パサパサにしてしまうケースです。原因は、赤身の水分の少なさにあります。サシの多い部位は脂が溶けてジューシーさを保ちますが、脂の少ないトウガラシは火を入れるほど水分が抜け、繊維が締まってボソボソになってしまいます。対策はシンプルで、「焼きすぎない」の一択。厚みに応じた短時間の加熱にとどめ、中心にほんのり赤みが残るくらいで火から下ろします。心配なら一度切って断面を確認し、足りなければ余熱や追加の数十秒で調整すればOK。一度パサついてしまった赤身は元に戻せないので、迷ったら「焼き足りないかも」で止めるのが正解です。良い肉ほどシンプルに、短く焼く——これがトウガラシを含む赤身希少部位に共通する鉄則です。
トウガラシ部位の選び方と買える場所ガイド
「食べてみたいけど、どこで買えるの?」という疑問に答えます。トウガラシはスーパーではほぼ手に入らないため、探す場所と見分け方を知っておくことが大切です。買い方の失敗例もあわせて紹介します。
スーパーでほぼ見かけない理由
トウガラシがスーパーの精肉コーナーに並ばないのは、量が取れないうえに、切り出しに手間がかかるからです。一頭から2〜3kgしか取れない部位を、日々大量に販売するスーパーの流通に乗せるのは効率が合いません。加えて、肩甲骨まわりから狙った形に筋引きするには職人の技術が必要で、精肉のプロがいる専門店でこそ扱える部位なのです。そのため、スーパーで「ウデ」「かた」として売られている一般的な肩肉の中にトウガラシが混ざっていることはあっても、「トウガラシ」という名前で単独販売されることはまずありません。裏を返せば、名前で指定して買いたいなら精肉店や専門の通販を頼るのが近道ということ。スーパーを何軒回っても見つからないのは在庫の問題ではなく、そもそも流通の仕組みが違うから、と理解しておくと無駄足を踏まずに済みます。
精肉店・通販での探し方と見分け方
トウガラシを確実に手に入れたいなら、対面の精肉店か、希少部位を扱うお取り寄せ通販が現実的な選択肢です。精肉店では「トウガラシ、なければトンビでも」と別名も添えて聞くと、店員さんに伝わりやすくなります。通販では「トウガラシ」「トンビ」「チャックテンダー」のいずれかで検索するとヒットします。良い状態のものを選ぶポイントは、赤身の色が鮮やかで、細かいスジが均一に入っていること。ドリップ(赤い液)が多く出ているものは鮮度が落ちているサインなので避けましょう。塊で買えば焼肉・ステーキ・ローストビーフと使い分けができ、スライスで買えば下処理の手間が省けます。用途が決まっているなら、注文時に「ローストビーフ用に塊で」「焼肉用にスライスで」と伝えると、店側が適した厚みや大きさに調整してくれることも多いです。
・赤身の色が鮮やかで、くすみやドリップが少ないもの
・細かいスジが均一に入り、大きな筋膜が少ないもの
・用途を伝えて厚み・形を調整してもらう(塊=ローストビーフ、スライス=焼肉)
・「トウガラシ」で通じなければ「トンビ」「チャックテンダー」で聞く
【失敗パターン2】スジを取らずに口に残る
もう一つよくある失敗が、下処理をせずに焼いて、大きなスジが口の中に残ってしまうケースです。トウガラシの細かいスジは旨味と食感の源なので取る必要はありませんが、赤身と赤身の間に走る板状の筋膜(大きなスジ)は加熱しても柔らかくならず、噛み切れずに残ります。原因は、細かいスジと大きなスジを区別せずに「スジは全部そのまま」あるいは逆に「スジは全部取る」と極端に処理してしまうこと。対策は、包丁の先で大きな筋膜だけを丁寧にそぎ取り、細かいスジは残すこと。スライス肉なら気になる筋膜に浅く切り込みを入れる「筋切り」をしておくと、焼き縮みも防げて食感がよくなります。せっかくの希少部位を「スジっぽかった」で終わらせないために、大きなスジだけは外す——このひと手間が仕上がりを大きく左右します。
似た希少部位との違いは?ミスジ・ザブトンと比較
トウガラシと混同されやすいのが、同じウデや肩まわりから取れるミスジやザブトンです。「どれも希少赤身でしょ?」で片づけず、違いを知っておくと選ぶときに役立ちます。位置・サシの入り方・味わいの3点で整理します。
ミスジとの違い(同じウデでもサシが違う)
ミスジもトウガラシと同じくウデ(肩甲骨まわり)から取れる希少部位ですが、キャラクターははっきり違います。ミスジは肩甲骨の内側にあり、中央に葉脈のような美しいサシ(脂)が一本入るのが最大の特徴。適度な霜降りで、赤身と脂のバランスを楽しむ部位です。一方トウガラシは、脂が少なくほぼ赤身一色。旨味の方向性が「サシの甘み(ミスジ)」と「赤身のコク(トウガラシ)」で分かれます。柔らかさで言えばサシの入るミスジがやや上、赤身の旨味の濃さで選ぶならトウガラシ、という住み分けです。同じウデでも、脂を楽しみたい日はミスジ、あっさり肉を味わいたい日はトウガラシ、と使い分けると焼肉の満足度が上がります。どちらも希少部位なので、両方あればぜひ食べ比べてみてください。

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ザブトン(肩ロースの一部)との違い
ザブトンは、肩ロースの中でも特にサシがきめ細かく入る部分で、座布団のように四角い形からその名が付いた希少部位です。トウガラシがウデの赤身なのに対し、ザブトンは肩ロース由来でとろけるような霜降りが持ち味。脂の甘みと口どけを楽しむなら断然ザブトン、赤身の旨味と歯切れを楽しむならトウガラシ、と対照的です。カロリーや脂質の面では、サシの多いザブトンのほうが当然高くなります。同じ「肩まわりの希少部位」というくくりでも、赤身寄りか霜降り寄りかで別物と考えたほうがよいでしょう。焼肉店で希少部位の盛り合わせを頼むと、トウガラシ・ミスジ・ザブトンが同じ皿に並ぶこともあります。食べ比べれば、部位ごとの個性の違いが一口でわかって面白いはずです。
シーン別・赤身好きへの使い分け提案
読者タイプ別に、トウガラシがハマる場面を整理しておきましょう。まず「脂が重いのは苦手だけど肉はしっかり食べたい」という人には、あっさり濃厚なトウガラシがど真ん中です。次に「筋トレ中でタンパク質を摂りたい、でも脂質は抑えたい」人には、100gあたり脂質4.6g・タンパク質20.4gの数値が魅力的。さらに「おもてなしで手作りローストビーフを出したい」人には、赤身の断面が美しく仕上がるトウガラシが向いています。逆に、とろける霜降りやサシの甘みを求める人は、ザブトンやサーロインを選んだほうが満足度が高いでしょう。トウガラシは「赤身の旨味を軽やかに楽しみたい」というニーズに刺さる部位。自分や一緒に食べる相手がどのタイプかを思い浮かべると、選ぶべき部位が自然と見えてきます。
| 比較項目 | トウガラシ | ミスジ | ザブトン |
|---|---|---|---|
| 主な位置 | ウデ(肩甲骨まわり) | ウデ(肩甲骨の内側) | 肩ロースの一部 |
| サシの量 | 少なめ(赤身) | 中央に一本 | 多め(霜降り) |
| 味わい | 赤身のコク・歯切れ | 赤身と脂のバランス | 脂の甘み・口どけ |
| 向くシーン | あっさり肉・ローストビーフ | 焼肉でバランス重視 | 霜降りを堪能したい日 |
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保存と下ごしらえのコツ、安全に楽しむための注意点
希少なトウガラシを手に入れたら、最後まで美味しく安全に食べきりたいもの。ここでは保存の目安、生焼け・生食のリスク、下処理の順に、公的機関の情報をふまえて解説します。ここはYMYL(健康にかかわる情報)なので、断定を避けつつ正確にお伝えします。
冷蔵・冷凍の保存の目安
トウガラシに限らず、生の牛肉は温度管理が命です。買ってきたらできるだけ早く冷蔵庫のチルド室へ入れ、数日で食べきれない場合は小分けにして冷凍するのが基本です。冷凍する際は空気に触れないようラップでぴったり包み、密閉袋に入れると酸化や冷凍焼けを防げます。解凍は冷蔵庫でゆっくり戻すのが、ドリップ(旨味を含んだ肉汁)の流出を抑えるコツ。常温での解凍や再冷凍は品質・衛生の両面で避けたいところです。保存期間は肉の状態や家庭の冷蔵環境で変わるため、「何日まで大丈夫」と一律には言えません。パッケージの消費期限を守り、色やにおいに違和感があれば口にしないのが安全です。希少部位だからこそ、良い状態のうちに味わうのが一番。買いだめよりも、食べる予定に合わせて必要な分を手に入れるのがおすすめです。
生焼け・生食のリスクと安全な加熱
トウガラシはローストビーフやたたきなど、中心をレアに仕上げる調理と相性が良い部位です。ただし、安全面では正しい知識が欠かせません。農林水産省は、お肉の表面には食中毒の原因菌が付着していることがあり、特に筋切りをした肉やたたきでは表面の菌が内部に入り込むおそれがあるため、中心部までしっかり火を通すことが大切だと注意を呼びかけています。厚生労働省も、食中毒予防の加熱の目安として中心部を75℃で1分間以上加熱することを示しています。「レアがおいしい部位」であることと「安全な加熱」は両立させる必要があり、特に子ども・高齢者・妊娠中の方・体調のすぐれない方は、しっかり加熱して食べるのが安心です。家庭でのローストビーフやたたきは中心の加熱が不十分になりやすいので、不安がある場合は無理をせず中心まで火を通す調理を選びましょう。安全に配慮したうえで、赤身の旨味を楽しんでください。
お肉の表面には食中毒菌が付着していることがあり、筋切りした肉やたたきは表面の菌が内部に入るおそれがあります(農林水産省)。食中毒予防には中心部を75℃で1分間以上加熱するのが目安です(厚生労働省)。子ども・高齢者・妊娠中の方・体調のすぐれない方は、中心までしっかり加熱して食べましょう。
スジ取り・筋切りの下処理
仕上がりを左右する下ごしらえも押さえておきましょう。前述の通り、トウガラシの細かいスジは旨味と食感の源なので残し、赤身の間に走る板状の大きな筋膜だけを包丁の先でそぎ取ります。塊で焼く場合は、外側の余分な脂や硬い膜を取り除いておくと、火の通りが均一になります。スライスで焼く場合は、筋膜に対して垂直に浅く切り込みを入れる「筋切り」をしておくと、加熱時の反り返りを防げて見た目もきれいに仕上がります。下味は焼く直前に塩こしょうをふる程度でOK。赤身の旨味が主役なので、味付けはシンプルにするほど部位の個性が引き立ちます。なお、筋切りをした肉は表面の菌が内部に入りやすくなる点は先ほどの注意の通りなので、下処理をしたらできるだけ早めに調理し、中心の加熱にも気を配りましょう。ひと手間かけるだけで、希少部位のポテンシャルを最大限に引き出せます。
まとめ:トウガラシは赤身好きが出会うべき希少部位
トウガラシは、量が取れないうえに職人の技術が必要なため、スーパーではまず出会えません。だからこそ、焼肉店のその日限りのメニューや、希少部位を扱う精肉店・通販で見つけたら試す価値のある部位です。まずは塩やわさびといったシンプルな味付けで、赤身そのものの濃厚な旨味を確かめてみてください。脂の甘みとは違う、肉本来のコクにきっと驚くはずです。
なお、価格・在庫や詳しい栄養値は時期や個体で変わります。最新の情報は各店舗の公式サイトや、文部科学省の食品成分データベースなどの一次情報でご確認ください。
参考:農畜産業振興機構(トウガラシなど部位の通称)/文部科学省 食品成分データベース/農林水産省 お肉はしっかり火を通してから食べましょう/厚生労働省 お肉はよく焼いて食べよう

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