スーパーの鶏肉売り場で「むね」と「もも」のパックが並んでいると、ラベルを見ないと区別がつかない。そんな経験はありませんか。ネットで鶏肉の部位の写真を探しても、並んでいる肉片はどれもピンク色です。どこを見れば見分けられるのかまで教えてくれるページは、意外と多くありません。
結論からいうと、鶏肉の部位は「色」「形」「骨と皮の有無」の3点を見れば、写真でも売り場でもほぼ迷わず見分けられます。白っぽいのがむね肉とささみ、赤みがはっきりしているのがもも肉です。手羽先と手羽元は骨の形で見分けます。砂肝とレバーはつやのある濃い色と独特の形が目印です。
この記事では、家庭でよく使う7部位について、見た目のチェックポイントと「体のどこの肉か」を整理します。あわせて日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値でカロリー・タンパク質・脂質を比べ、料理別の選び方と売り場での鮮度の見分け方までまとめました。
・むね・もも・ささみ・手羽先・手羽元・砂肝・レバーの7部位を写真で見分けるポイント
・部位ごとの体の位置と、白身・赤身の色の違いが生まれる理由
・成分表で比べたカロリー・タンパク質・脂質と、皮の有無による違い
・料理別の部位の選び方と、売り場で鮮度のよい鶏肉を選ぶコツ
鶏肉部位写真を見る前に押さえたい「鶏の体の地図」

家庭でよく使う部位は「肉・手羽・内臓」の3グループ
最初に覚えておきたいのは、スーパーに並ぶ鶏肉が大きく3グループに分かれるということです。1つ目は骨を外した肉で、むね肉・もも肉・ささみ。2つ目は骨付きの手羽で、手羽先と手羽元。3つ目は内臓で、砂肝とレバーです。
このグループ分けを先に頭に入れておくと、写真を見たときに「骨があるか」「内臓特有のつやがあるか」でまず候補を絞れます。骨がなくピンク色の平たい肉なら1つ目のグループ、骨が見えていれば手羽、濃い赤褐色やつやのある塊なら内臓、という順番です。
鶏肉の部位は、細かく分けると8〜22種類程度あるとされます。焼き鳥店では「ぼんじり」「せせり」などの名前も出てきますが、家庭の料理で主役になるのは今回の7部位でほぼ足ります。
注意したいのは、同じ部位でも「皮つき」「皮なし」「一口大カット」「唐揚げ用」など売り方で見た目が大きく変わることです。カット済みのパックは形の手がかりが消えるので、色と脂の量で判断する場面が増えます。この点は次の見出しで詳しく解説します。
人間の体に置き換えると位置が一発でわかる
部位の位置は、人間の体に置き換えるのがいちばんの近道です。手羽先は人間でいうと指の部分、手羽元は肩から肘にあたる上腕部分、もも肉は足の付け根から膝まで、むね肉は胸部です。ささみは胸の内側にある深胸筋で、「第二の胸筋」とも呼ばれます。
こう置き換えると、肉質の違いにも納得がいきます。もも肉は歩くために常に使われる筋肉なので、ほかの部位に比べて筋肉がしっかりしていて歯ごたえがあります。むね肉とささみは脂肪が少なく、やわらかく淡白です。手羽元は付け根に近く、よく動かす筋肉のため肉質がやわらかく引き締まり、程よく脂肪がついています。
写真で部位を当てるときも、「この形は腕の先か、脚か、胸か」と想像すると迷いにくくなります。たとえば骨が1本通った太い形なら上腕の手羽元、先が細くなって関節があれば指先の手羽先、という具合です。
豆知識として、砂肝は「筋胃(砂ずり)」という胃の一部で、レバーは肝臓です。内臓といっても砂肝は筋肉でできているため、コリコリした歯ごたえがあります。同じ内臓でもレバーとは食感が正反対です。
白身と赤身、色の差が生まれる理由
写真で最初に目に入るのは色です。むね肉は白身、もも肉は赤身と覚えておくと、ほとんどのパックはこれだけで見分けがつきます。
もも肉は鶏肉の中でも鉄分が豊富で、肉色の赤みがはっきりしています。筋肉をよく使う部位ほど赤みが強くなる、と覚えておくとわかりやすいでしょう。むね肉やささみは淡いピンクで、全体に白っぽく見えます。
売り場では、むね肉ともも肉を横に並べると色の違いが一目でわかります。単独で置かれていると判断しにくいので、「白に近いピンクならむね・ささみ」「赤みが強くて脂の白い筋が混じるならもも」と基準を2つ持っておくのがおすすめです。
ただし照明や撮影の条件で、写真の色味は大きく変わります。ネットの写真だけで判断するなら、色より形と脂の入り方を優先したほうが確実です。
| 部位 | 体の位置 | 色 | 写真で見るポイント |
|---|---|---|---|
| むね肉 | 胸部 | 白身 | 厚みのある大きな一枚、脂が少ない |
| もも肉 | 足の付け根から膝まで | 赤身 | 形が不ぞろい、黄白色の脂と筋が混じる |
| ささみ | 胸部の内側(深胸筋) | 白身 | 細長い笹の葉形、白い筋が1本通る |
| 手羽先 | 羽の先端(人の指) | 皮の乳白色 | 関節があり先が細くとがる |
| 手羽元 | 上腕(肩から肘) | 皮の乳白色 | 太い骨が1本、片側がふくらむ |
| 砂肝 | 筋胃(砂ずり) | 濃い赤紫 | 丸い塊が2つつながる、青白い膜つき |
| レバー | 肝臓 | 赤褐色 | つやがありやわらかい、形が崩れやすい |

部位ごとの使い分けをもう一段深く知りたい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

むね・もも・ささみはどこを見れば迷わない?
むね肉は「厚みのある大きな一枚」と白っぽさが目印
むね肉は、ラベルがなくても形でわかりやすい部位です。丸みのある大きな一枚で、片側が厚く、反対側に向かって薄くなっていきます。色は淡いピンクで、全体が均一に白っぽく見えます。
理由は、むね肉が脂肪の比較的少ない部位だからです。キッコーマンの解説でも、むね肉は淡泊であっさりした味わいで、たんぱく質が多いと紹介されています。脂が少ないので、断面にもも肉のような白い脂の筋がほとんど入りません。
売り場での見分け方は、皮つきなら「皮が片面をすっぽり覆った平たい一枚」、皮なしなら「表面がつるんとしてムラのない淡いピンク」です。一口大にカットされたパックでは、切り口の繊維がまっすぐそろって見えるのもむね肉の特徴です。
ここでよくある失敗が、むね肉をもも肉と同じ感覚で長く加熱してパサパサにしてしまうことです。原因は、脂が少ないぶん水分が抜けると一気に固くなることにあります。加熱しすぎると身が固くなるため、炒め物など加熱時間が短い料理が向いています。煮込むなら最後に加え、火を止めて余熱で火を通すのが対策です。
もも肉は形が不ぞろいで、脂と筋が混じる
もも肉は、形が不ぞろいなことがいちばんの目印です。むね肉のように整った一枚ではなく、端がでこぼこしていて、ところどころに黄白色の脂のかたまりや白い筋が見えます。
これは、もも肉が足の付け根から膝までの、いくつもの筋肉が集まった部位だからです。筋肉がしっかりしているので肉質はかためで、たんぱく質と脂肪が多く、うま味とコクがあります。遊離アミノ酸とタウリンが多いのも特徴で、日本人が最も好む部位ともいわれます。
写真で見るときは、赤みの強い身と白い脂のコントラストに注目してください。皮なしのもも肉でも、身の間に脂の層が入り込んでいるのが見えれば、ほぼもも肉と判断できます。骨を外した跡のくぼみが残っていることもあります。
豆知識として、唐揚げ用に一口大にカットされたもも肉は、1切れごとに脂の量がばらつきます。揚げたときの仕上がりをそろえたい場合は、大きな脂のかたまりを包丁で少し取り除いてから下味をつけると、油はねも減らせます。
ささみは細長い笹の葉形と、真ん中の白い筋
ささみは、7部位の中でいちばん写真で当てやすい部位です。細長い笹の葉のような形で、1本の中央に白い筋が通っています。この筋が見えれば、ほぼ間違いなくささみです。
ささみは胸部の内側にある深胸筋で、「第二の胸筋」とも呼ばれます。鶏肉の中で最もやわらかく、脂肪が最も少ない部位です。100gあたり98kcal、タンパク質23.0g、脂質0.8gと、数値でも脂の少なさがはっきり出ます。
売り場では、2〜3本が並んだパックが一般的です。筋を取り除いた「筋なし」タイプもあり、その場合は中央の白い筋が見えないので、形の細長さで判断しましょう。色はむね肉とほぼ同じ淡いピンクです。
注意点は、筋を残したまま加熱すると縮んで身が反り返り、食感も悪くなることです。筋の端を指でつまみ、包丁の背で身を押さえながら引くとスルッと取れます。
| 部位の位置 | 胸部の内側(深胸筋) |
| カロリー(100gあたり) | 98kcal |
| タンパク質・脂質 | タンパク質23.0g・脂質0.8g |
| 食感・味の特徴 | 鶏肉で最もやわらかく淡白 |
| 写真での目印 | 細長い笹の葉形・中央に白い筋 |
| おすすめ調理法 | 蒸し鶏、ボイル、冷たい和え物、スープ |
皮つき・皮なしのパックはどう見分ける?
むね肉ともも肉は、皮つき・皮なしの両方が売られています。見分け方はシンプルで、表面に黄色がかった乳白色の膜があれば皮つき、身のピンク色がそのまま見えていれば皮なしです。
皮の有無で栄養は大きく変わります。むね肉は皮なし100gあたり105kcal、皮つきで133kcalです。皮には脂肪分が多いため、皮がつくだけでその差は28kcalになります。もも肉は皮なし113kcal、皮つき190kcalで、差は77kcalに広がります。
写真で判断するときは、皮のふちに注目しましょう。皮つきの肉は、ふちで皮が少しはみ出したり、縮んで波打ったりしています。皮なしはふちの線がすっきりしています。
知っておくと得するのは、皮つきを買って自分で皮を外すという選択肢です。皮は焼くと香ばしく、カリカリに焼いてつまみにしたり、出た脂で野菜を炒めたりできます。カロリーを抑えたい日は外し、ごちそうの日は残す、と1パックで調整できます。
手羽先と手羽元、写真でどこを見れば迷わない?

手羽先は関節があり、先がとがった「指」の形
手羽先は、人間でいうと指の部分です。写真では、関節で「く」の字に曲がった形と、先端の細くとがった部分が目印になります。平たい形で、皮が全体を覆っています。
手羽先は、ゼラチン質と脂肪に富んでいるのが特徴です。身の量は少なめですが、皮と骨まわりのゼラチン質が多いのでコクが出ます。唐揚げや煮込み、出汁取りに向いている部位です。
売り場では、先端を切り落として真ん中の部分だけにしたものが並んでいることもあります。先端がない場合でも、平たい形で細い骨が2本並んで通っていれば手羽先の仲間です。
注意点は、骨のぶん可食部が少ないことです。パックの重さがそのまま食べられる量ではないので、人数分を買うときは本数で数えるほうが失敗しません。
手羽元は太い骨が1本、片側がふくらんだ形
手羽元は胸肉近くの上腕部分で、人間でいうと肩から肘までにあたります。写真では、太い骨が1本通り、片側がこんもりふくらんだ形が目印です。小さなチキンレッグのような見た目をしています。
手羽元は付け根に近く、筋肉がよく使われる部位です。肉質はやわらかく引き締まっていて、程よく脂肪がついています。骨が厚く、骨まわりにはコラーゲンが豊富です。成分表では、皮つき100gあたり175kcal、脂質12.8gです。
手羽先との見分け方は「骨の本数と太さ」です。手羽元は太い骨が1本、手羽先は細い骨が2本並びます。形も、手羽元は棒状でふくらみがあり、手羽先は平たく関節で曲がっています。
知っておくと得するのは、手羽元は骨に沿って包丁で切れ目を入れると、火の通りと味のしみ込みがよくなることです。煮込みで骨から身がほろっと外れるのも手羽元の魅力です。
| 比較項目 | 手羽先 | 手羽元 |
|---|---|---|
| 体の位置 | 羽の先端(人の指) | 上腕(肩から肘) |
| 見た目 | 平たく関節で曲がる、先がとがる | 棒状で片側がふくらむ |
| 骨 | 細い骨が2本 | 太い骨が1本 |
| 味・食感 | ゼラチン質が多くコクがある | やわらかく引き締まった身 |
| 向く料理 | 唐揚げ、塩焼き、煮込み、スープ | 唐揚げ、グリル、煮込み、スープ |
骨付きだからこそ出汁が出る
手羽先と手羽元に共通する強みは、骨から出汁が出ることです。加熱すると骨まわりからコラーゲンとうま味が溶け出すため、スープや煮込み料理に使うとしっかりコクを感じられます。
骨付き肉は、骨と身の境目に結合組織が集まっています。これが長く加熱されるとやわらかくほぐれ、うま味と一緒に煮汁へ移ります。骨なしのむね肉やささみでスープを作ると、あっさりしすぎて物足りなく感じるのはこのためです。
家庭での使い方の例としては、鍋やポトフの具に手羽元を数本入れるだけで、スープの味に厚みが出ます。手羽先は水から煮出すと、鶏がらスープに近い出汁が取れます。
やりがちな失敗は、強火でぐらぐら煮立て続けることです。スープが濁り、身も縮みます。沸騰したらアクを取り、弱火でコトコト煮るのがコツです。
砂肝とレバー、内臓部位の見た目と扱い方
砂肝は丸い塊が2つつながった形で、青白い膜つき
砂肝は、写真で見ると丸みのある塊が2つつながった独特の形をしています。色は濃い赤紫で、表面の一部に青白い膜(銀皮)がついています。この形と膜の組み合わせで、ほかの部位とすぐに見分けられます。
砂肝は「筋胃(砂ずり)」と呼ばれる胃の一部で、筋肉でできた部位です。脂肪が非常に少なく、コリコリとした食感があります。成分表では100gあたり86kcal、タンパク質18.3g、脂質1.8gで、低カロリー・高タンパク質な部位です。
売り場では、つながった形のまま売られているものと、半分に切って銀皮を取った「下処理済み」のものがあります。下処理済みは膜がないぶん、断面の濃い赤紫がよく見えます。
注意点は、銀皮を残すと筋っぽく噛み切りにくくなることです。気になる人は包丁でそぎ取りましょう。ただし銀皮もコリコリした食感が好きな人はいるので、好みで残しても問題ありません。
| 部位の位置 | 筋胃(砂ずり) |
| カロリー(100gあたり) | 86kcal |
| タンパク質・脂質 | タンパク質18.3g・脂質1.8g |
| 食感・味の特徴 | コリコリした食感、淡泊な味わい |
| 写真での目印 | 丸い塊が2つつながる・青白い膜 |
| おすすめ調理法 | 塩焼き(焼き鳥)、炒め物、グリル |
レバーはつやのある赤褐色、やわらかく形が崩れやすい
レバーは鶏の肝臓です。写真では、つやのある赤褐色で、ふっくらとやわらかそうな見た目が特徴です。パックの中で形が崩れ、何切れかが重なって入っていることがよくあります。
レバーはビタミン・ミネラルが豊富で、「栄養の宝庫」ともいわれる部位です。鉄分、ビタミンA、ビタミンB群が多く、不足しがちな栄養素をまとめて補えます。食感は、加熱するとふわっとやわらかく仕上がります。
売り場では、レバーと心臓(ハツ)がつながった状態で並んでいることもあります。つやのある平たい部分がレバー、先のとがった小さな塊がハツです。
ここで注意したいのが、2つ目のよくある失敗です。レバーを強火で一気に焼いて、硬くパサついた食感にしてしまうパターンです。原因は、内臓部位が加熱しすぎると硬くなり食感が落ちる性質にあります。対策は、弱〜中火でじっくり火を通すこと。こうするとしっとり仕上がります。
牛・豚・鶏のレバーの違いは、こちらで比較しています。

焼肉屋のメニューで「レバー」を見かけたとき、あれが牛のどこの部位なのか、はっきり答えられる人は意外と少ないものです。カルビはバラ、ハラミは横隔膜と説明できても、…
内臓は「下処理」と「中までしっかり加熱」がセット
砂肝もレバーも、ひと手間の下処理でおいしさが大きく変わります。砂肝は銀皮を取り、レバーは余分な脂や筋、血のかたまりを取り除いてから、水気をしっかり拭いて調理します。
内臓部位は精肉に比べて傷みやすく、においも出やすいのが理由です。下処理で汚れや血を落とすと、臭みが抑えられ、火の通りも均一になります。
購入したら、その日のうちか翌日までに使い切る計画で買うのがおすすめです。すぐに使わない場合は、下処理を済ませてから小分けにして冷凍すると扱いやすくなります。
そしていちばん大切なのが加熱です。レバーは「じっくり弱〜中火」が基本ですが、それは「生っぽく仕上げる」という意味ではありません。中心部まで火を通すことを優先してください。
鶏肉やレバー・砂肝などの内臓は、生や加熱不足のまま食べないのが基本です。公的機関も、鶏肉は中心部まで十分に加熱するよう呼びかけています。「新鮮だから大丈夫」という考え方は当てはまりません。切ったときに中心に赤い部分や透明な肉汁が残っていれば、追加で加熱してください。妊娠中の方、小さな子ども、高齢の方はとくに注意が必要です。
7部位の栄養を成分表で比べるとどう違う?
お肉の教科書調べ:7部位のカロリー・タンパク質・脂質
見た目の違いがわかったところで、栄養の違いを数字で比べてみましょう。下の表は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年をもとに、お肉の教科書が100gあたりの数値を整理したものです。
| 部位(100gあたり) | カロリー | タンパク質 | 脂質 |
|---|---|---|---|
| 砂肝 | 86kcal | 18.3g | 1.8g |
| ささみ | 98kcal | 23.0g | 0.8g |
| むね肉(皮なし) | 105kcal | 19.5g | 1.9g |
| もも肉(皮なし) | 113kcal | 17.3g | 5.0g |
| むね肉(皮つき) | 133kcal | 19.0g | 5.0g |
| 手羽元(皮つき) | 175kcal | 成分表で確認 | 12.8g |
| もも肉(皮つき) | 190kcal | 16.2g | 14.0g |
出典:文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)をもとにお肉の教科書が作成。手羽先・レバーは本文で特徴を解説しています。
カロリーの低い順に並べると、砂肝、ささみ、むね肉(皮なし)、もも肉(皮なし)と続きます。上位4つはいずれも脂質が少ない部位です。一方、皮つきのもも肉と手羽元は脂質が2桁台になり、カロリーも一段上がります。
数値の大小を決めているのは、ほぼ脂質です。タンパク質は多くの部位で10g台後半〜20g台前半に収まり、部位ごとの差は脂質ほど大きくありません。
カロリーを決めるのは部位より「皮」
表を見てはっきりわかるのは、皮の影響の大きさです。もも肉は皮なし113kcalに対し、皮つきは190kcal。脂質も5.0gから14.0gに増え、その差は9.0gあります。
皮は脂肪分を多く含むため、同じ部位でも皮の有無でカロリーが大きく変わります。部位を変えるより、皮を外すほうがカロリーへの効果が大きい場面も多いのです。
具体的には、唐揚げなら皮つきもも肉、照り焼きなら皮目をパリッと焼いたもも肉と、皮の香ばしさを楽しむ料理があります。反対に、蒸し鶏やスープは皮を外したむね肉でも十分おいしく作れます。料理ごとに「皮が主役かどうか」で判断するとよいでしょう。
豆知識として、皮つきの肉を焼いてから皮を外す方法もあります。皮から脂が溶け出して身に香りが移るので、皮を食べなくても風味は残ります。
実はもも肉皮なしは、むね肉皮つきより低カロリー
意外と知られていないのが、皮を外したもも肉(113kcal)は、皮つきのむね肉(133kcal)よりカロリーが低いという事実です。「ダイエット中はむね肉一択」と思い込んでいる人ほど、この逆転に驚きます。
理由はここまで見てきたとおり、カロリーの多くが皮の脂から来ているためです。もも肉そのものの身は、皮を外せば脂質5.0gと、むね肉皮つきと同じ値に収まります。
もう1つの逆転が砂肝です。精肉の中で最も低カロリーなのはささみですが、内臓まで含めると砂肝の86kcalがささみの98kcalを下回ります。コリコリした食感で噛む回数も増えるので、満足感を得やすい部位です。
つまり「むね肉かもも肉か」だけで悩む必要はありません。パサつきが苦手な人は、皮なしのもも肉を選ぶのも十分に合理的です。
タンパク質の数値を見るときの注意点
成分表でタンパク質を調べると、サイトによって数値が違って見えることがあります。これは、日本食品標準成分表(八訂)に「アミノ酸組成によるたんぱく質」と「たんぱく質」の2つの列があり、どちらを引用するかで数値が変わるためです。
八訂からは、アミノ酸組成をもとに計算した値がエネルギー計算の基礎として重視されるようになりました。そのため、古いバージョンの七訂や、別の列を引用した記事と比べると、同じ部位でも1〜数g程度の差が出ることがあります。
比べるときは、同じ資料の同じ列どうしで比べるのが鉄則です。この記事の表は同じ基準の数値でそろえているので、部位の大小関係を見る目安として使ってください。正確な値が必要な場合は、食品成分データベースのささみのページのように、部位ごとのページで直接確認できます。
また、成分表の数値は「生」の状態です。焼いたりゆでたりすると水分が抜けて、100gあたりの数値は変わります。調理後の数値と混ぜて比べないようにしましょう。
料理別に選ぶなら、どの部位が正解?
ダイエット・筋トレ中はささみ・むね肉・砂肝
カロリーと脂質を抑えながらタンパク質をとりたいなら、ささみ・むね肉(皮なし)・砂肝の3つが候補です。いずれも脂質が1g台以下で、100gあたりのカロリーも86〜105kcalに収まります。
ささみは高タンパク・低脂肪・低カロリーで、アスリートや筋トレをしている人、ダイエット中の人に向く部位です。むね肉も高たんぱく低カロリーで、ダイエットや筋力アップに活用できます。
おすすめの食べ方は、ささみなら蒸し鶏やボイルで冷たい和え物に、むね肉なら蒸し鶏やスープ、砂肝なら塩でシンプルに焼く焼き鳥スタイルです。どれも余分な油を使わずに作れるので、部位の低脂質を活かせます。
注意点は、毎日同じ部位だけだと飽きて続かないことです。ささみ、むね肉、砂肝を曜日で回すと、食感の違いで食事が単調になりにくくなります。
家族の夕飯はもも肉を中心に、むね・ささみでバランスを
家庭料理の基本は、もも肉を中心にして、むね肉やささみでバランスをとることです。こってり系の唐揚げや照り焼きにはもも肉、あっさり系のスープや蒸し鶏にはむね肉やささみ、と分けると失敗しません。
もも肉は脂肪が多くコクがあり、加熱すると鶏肉らしい香りが立ちます。ジューシーさが求められる唐揚げや煮物にはもってこいです。むね肉はあっさりしていて、下味や片栗粉でしっとり感を補えば、子どもも食べやすくなります。
具体的には、週の献立で「もも肉の唐揚げ」「むね肉の蒸し鶏サラダ」「手羽元の煮込み」と部位を変えると、同じ鶏肉でも食感と味に変化がつきます。
やりがちなのは、唐揚げをむね肉だけで作ってパサつかせることです。むね肉で作るなら、厚さ1cm程度のそぎ切りにして、衣をつける前に下味をしっかりもみ込むと仕上がりが変わります。
スープ・鍋・煮込みは手羽先・手羽元
スープや鍋、煮込み料理を作るなら、手羽先か手羽元を選びましょう。骨から出汁が出やすく、加熱すると骨まわりのコラーゲンとうま味が溶け出して、煮汁にコクが加わります。
手羽先はゼラチン質が多く、じっくり煮ると煮汁にとろみが出ます。手羽元は身がしっかりしているので、食べごたえのある具としても活躍します。「出汁重視なら手羽先、具として食べるなら手羽元」と覚えておくと選びやすいでしょう。
具体的な使い方としては、水炊きや鶏鍋に手羽元、中華スープや参鶏湯風のスープに手羽先がよく合います。甘辛く煮るなら手羽元の酢煮も定番です。
注意点は、手羽は皮つきのため脂が浮きやすいことです。冷ますと脂が固まって表面に集まるので、作り置きのスープはひと晩冷やしてから脂をすくい取ると、すっきりした味になります。
お酒のつまみにはレバーと砂肝
晩酌のお供には、レバーと砂肝がおすすめです。砂肝は淡泊な味わいとコリコリした食感が魅力で、塩でシンプルに味付けした焼き鳥がいちばんの食べ方です。レバーは赤ワイン煮込みや甘辛煮、炒め物にすると、濃いめの味つけがお酒に合います。
この2つは、栄養面でも精肉とは違う強みがあります。レバーは鉄分やビタミン類が豊富で、砂肝は低カロリー・高タンパク質です。おつまみでもヘルシーさを意識したい人に向いています。
家での食べ方の例として、砂肝は薄切りにしてにんにくと一緒に炒めるだけで一品になります。レバーは下処理をしてから甘辛く煮ておけば、冷蔵庫の常備菜にもなります。
ただし、どちらも中心部まで加熱することが前提です。焼き鳥店の「レア気味」の仕上がりを家庭で真似するのは避けてください。
鶏肉部位写真だけではわからない、鮮度の見分け方
色は「透明感のあるピンク」が新鮮のサイン
部位の見分け方がわかったら、次は鮮度です。新鮮な鶏肉は、透明感のあるピンク色をしています。部位によって色の濃さは違いますが、「みずみずしい透明感があるか」は共通のチェックポイントです。
反対に、黄色っぽくなっていたり、白っぽくなっていたりするものは鮮度が落ちている可能性が高いです。時間がたつと肉の表面が乾いたり、色素が変化したりして、くすんだ色に変わっていきます。
売り場では、同じ部位のパックをいくつか見比べるのがおすすめです。1パックだけではわかりにくくても、並べると色のくすみや透明感の差がはっきり見えてきます。
注意点として、売り場の照明は肉がきれいに見えるよう工夫されていることがあります。色だけで判断せず、次に紹介するハリや厚みも合わせてチェックしましょう。
ハリと厚みで鮮度を見抜く
新鮮な鶏肉は、身にハリがあり、厚みがあります。パックの上から見て、身がふっくら盛り上がっているものを選びましょう。
鮮度が落ちると、肉の水分が外に出て身がしぼみ、平べったく見えるようになります。パックの底に赤い液体(ドリップ)がたまっているのも、水分とうま味が流れ出ているサインです。
具体的には、パックを傾けたときにドリップが少なく、身の角がぴんと立っているものが目安です。むね肉なら厚みのある側がこんもりしているか、ささみなら1本1本がふっくらしているかを見てください。
知っておくと得するのは、ドリップの多いパックを買ってしまった場合の対処です。調理前にキッチンペーパーで表面の水分をしっかり拭き取ると、臭みを抑えられます。
皮は乳白色、毛穴の盛り上がりもチェック
皮つきの部位を選ぶときは、皮の色も見ましょう。新鮮な鶏肉の皮は、きれいな乳白色です。
皮は脂肪が多いため、時間がたつと脂が酸化して黄ばんだり、表面が乾いて透明感がなくなったりします。皮の見た目は、身よりも鮮度の変化が表れやすいポイントです。
売り場では、皮の表面にある毛穴のぽつぽつとした盛り上がりにも注目してください。毛穴がくっきり盛り上がっているものは、皮にハリがある証拠です。のっぺりとしていて、ぬめりが見えるものは避けましょう。
家に持ち帰ったら、なるべく早く冷蔵庫のいちばん冷える場所に入れます。すぐに使わない分は、1回分ずつ小分けにして冷凍すると、鮮度を保ちながら使い切れます。
部位ごとのお得な買い方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

スーパーの精肉コーナーで、いちばん安いトレイを探して鶏肉の棚を眺める。もも肉に手を伸ばしかけて、隣のむね肉の値札を見て考え直す——そんな時間、けっこう長いですよ…
まとめ
次にスーパーへ行ったら、ラベルを見る前にむね肉ともも肉のパックを並べて、色と脂の入り方の違いを見比べてみてください。一度自分の目で確かめておくと、写真でも売り場でも部位を迷わず選べるようになります。
※栄養成分は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の生の値です。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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