焼肉屋のメニューで「ハラミ」を見つけると、なんとなく「赤身っぽいしヘルシーそう」と手が伸びる人は多いはずです。でも実際のところ、ハラミのカロリーはカルビより低いのか、たんぱく質はどれくらい摂れるのか、数字で答えられる人はほとんどいません。
先に結論をお伝えします。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年に収載された「うし [副生物] 横隔膜 生」は、100gあたり288kcal、たんぱく質14.8g、脂質27.3g、炭水化物0.3gです。カルビ(和牛ばら 脂身つき 生)の472kcalよりは低いものの、ヒレの207kcalには届かない中間ポジション。そして意外なことに、同じ横隔膜でも「焼き」の数値は401kcalまで跳ね上がります。
この記事では、ハラミのカロリーと栄養を成分表の実数値で整理し、焼くと数字がどう変わるのか、カルビや牛タンと比べて何位なのか、鉄や亜鉛はどれくらい摂れるのかまで、ひとつずつ数値で確かめていきます。内臓肉ならではの加熱の注意点も、公的機関が示している基準に沿って最後にまとめました。
・ハラミ(牛の横隔膜)は生100gで288kcal、たんぱく質14.8g、脂質27.3g、炭水化物0.3g
・「焼き」の成分値は401kcal。水分が抜けて成分が濃縮するため、100gあたりの数字は上がる
・カルビ472kcal・牛タン318kcalより低く、ヒレ207kcal・もも赤肉176kcalよりは高い中間ポジション
・鉄3.2mg・亜鉛3.7mgはカルビの2倍以上。内臓肉らしいミネラルの多さが強み
ハラミのカロリーと栄養は100gで288kcal、糖質はたった0.3g

まずは基準になる数値を押さえます。ここで使うのは文部科学省の食品成分データベースに収載されている公的な値で、個人の体感や店舗ごとの推定値ではありません。
288kcalという数字は「焼肉のど真ん中」だった
ハラミ(うし [副生物] 横隔膜 生、食品番号11274)の100gあたりのエネルギーは288kcalです。焼肉メニューの中で見ると、これは高くも低くもない中央値あたりに位置します。カルビの元になる和牛ばら(脂身つき 生)が472kcalですから、同じ量を食べれば差は184kcal。ごはん軽く1杯ぶんに近い差が生まれます。
288kcalという水準になる理由は、ハラミが「筋肉としては薄いのに、脂が層になって入り込んでいる」構造だからです。横隔膜は呼吸のたびに動き続ける筋肉なので繊維は細かく、そこに脂が細かく散っています。見た目が赤身に見えるのに脂質が27.3gもあるのは、この「見えにくい脂」が理由です。
スーパーで判断するときは、パックの上から見て赤身部分だけを見ないことです。パックの底面や側面を見ると、白い脂の膜や筋が回り込んでいるのがわかります。底に白い層が厚く見えるものは、同じ100gでもエネルギーが上振れしやすいと考えて選びます。
注意したいのは、288kcalはあくまで成分表の代表値だという点です。ハラミは脂の付き方の個体差が大きい部位なので、脂をていねいに取り除いた商品と、脂ごとスライスした商品では実際の数値が変わります。「288kcalぴったり」ではなく「288kcalを軸に上下する」と捉えるのが実態に近い読み方です。
成分表に「ハラミ」という名前は載っていない
食品成分表を「ハラミ」で検索しても出てきません。収載名は「うし [副生物] 横隔膜」で、ハラミは流通上の呼び名だからです。そして「[副生物]」という分類が示す通り、成分表上のハラミは牛肉(枝肉から取る精肉)ではなく、内臓と同じグループに入っています。
なぜ内臓扱いなのかというと、横隔膜は胸腔と腹腔を仕切る膜状の筋肉で、と畜の工程では内臓と一緒に取り出されるからです。組織としては骨格筋なので味も食感も赤身肉に近いのですが、流通のルート上は内臓(もつ)と同じ扱いになります。焼肉店でハラミがホルモンのページに載っていることがあるのは、この分類が理由です。
この「見た目は肉、分類は内臓」という二重性が、後半で扱う加熱の注意点にも関わってきます。ラベルの表示を見ると「牛横隔膜」「さがり」などと書かれていることがあり、部位名の表記が店によってばらつくのもハラミの特徴です。
ハラミが体のどこにある部位なのか、断面図レベルで知りたい場合はこちらの記事で詳しく整理しています。

焼肉店のメニューで必ず見かける「ハラミ」。赤身のようにジューシーで、カルビよりあっさりしていて食べやすい——そんな人気部位ですが、「ハラミって結局どこの部位なの…
炭水化物0.3gは糖質制限と相性がいい数字
ハラミの炭水化物は100gあたり0.3gです。肉類全般に言えることですが、糖質はほぼゼロに近い水準で、糖質を制限している人にとっては選びやすい部位になります。食塩相当量も0.1gしかないため、塩分は味付けでどれだけ足すかがすべてです。
ここで気をつけたいのが、タレの存在です。焼肉のタレは糖類とみりん類を含むものが多く、肉そのものの0.3gよりタレ由来の糖質のほうが大きくなることは珍しくありません。肉のスペックだけを見て安心すると、実際に口に入る糖質量とはズレが出ます。
糖質を抑えたい日は、塩・レモン・わさび・粗挽きこしょうといった糖質をほとんど含まない味付けに寄せると、成分表の数値どおりに近づきます。逆にタレの甘みでごはんが進むタイプの人は、肉の糖質ではなく「ごはんの量」が本丸だと割り切ったほうが現実的です。
もうひとつ、コレステロールは100gあたり70mgです。数値だけを見て一喜一憂するより、食事全体の中でどれくらいの量を食べるかで考えるほうが実用的です。持病があり食事管理を受けている人は、自己判断せずかかりつけの医療機関の指示に従ってください。
ハラミのスペックを1枚にまとめると
ここまでの数値をカードにまとめました。以降の章はこの数字を土台に読み進めてもらえれば、比較の意味がつかみやすくなります。
| 部位の位置 | 胸腔と腹腔を仕切る横隔膜(成分表では[副生物]に分類) |
| カロリー(100gあたり) | 288kcal(生)/401kcal(焼き) |
| タンパク質・脂質 | たんぱく質14.8g/脂質27.3g(生) |
| 食感・味の特徴 | 繊維が細かく柔らかい。赤身の旨味に脂の甘みが重なる |
| 目立つ栄養素 | 鉄3.2mg・亜鉛3.7mg・ビタミンB2 0.35mg・B12 3.8μg |
| おすすめ調理法 | 網焼き・鉄板焼き(中心までしっかり加熱する) |

焼くと288kcalが401kcalになる、この数字のカラクリ
ここが多くの人が誤解しているポイントです。「焼けば脂が落ちてカロリーが下がる」と思われがちですが、成分表の数値はまったく逆の動きをします。理由がわかると、カロリー計算の考え方そのものが変わります。
生288kcal・ゆで414kcal・焼き401kcalという不思議な並び
成分表には横隔膜が3つの状態で収載されています。生(11274)が288kcal、ゆで(11296)が414kcal、焼き(11297)が401kcalです。加熱したほうが数字が大きい、しかもゆでたほうが焼きより高いという、直感に反する並びになっています。
| 状態(100gあたり) | 生 | ゆで | 焼き |
|---|---|---|---|
| エネルギー | 288kcal | 414kcal | 401kcal |
| たんぱく質 | 14.8g | 21.3g | 21.1g |
| 脂質 | 27.3g | 36.7g | 37.2g |
| 水分 | 57.0g | 39.6g | 39.4g |
| 鉄/亜鉛 | 3.2mg/3.7mg | 4.2mg/5.6mg | 4.1mg/5.3mg |
カラクリは水分です。生の状態では水分が57.0gありますが、ゆでで39.6g、焼きで39.4gまで減ります。100gという枠は同じでも、中身の水が抜けたぶんだけ脂とたんぱく質の密度が上がる。だから「100gあたりの数字」が大きくなるわけです。
たんぱく質も同じ動きをします。生14.8gが焼きで21.1gに増えるのは、肉の中でたんぱく質が新しく作られたからではなく、水が減って濃くなったからです。ミネラルも鉄3.2mg→4.1mg、亜鉛3.7mg→5.3mgと同じ方向に動いています。
実は「焼いても総カロリーはほとんど変わらない」
意外と知られていないのですが、100gあたりの数字が上がることと、あなたが食べるハラミの総カロリーが上がることはまったく別の話です。焼けば水分が抜けて重さそのものが減るので、「焼く前100gだった肉」は焼き上がりでは100gより軽くなっています。
たんぱく質量から逆算すると、生14.8g÷焼き21.1g=約0.70。つまり生100gのハラミは、焼き上がりで70g前後になる計算です(お肉の教科書調べ・成分表の値からの試算)。この70gに焼きのエネルギー401kcalを当てると、401×0.70=約281kcal。生の状態の288kcalとほぼ同じ数字に戻ります。
結論として、焼くことで落ちる脂のぶんだけわずかに減る程度で、劇的に減るわけではありません。「網焼きにすれば脂が落ちてカロリーが激減する」というイメージは、成分表の数値からは支持されないということです。網焼きの価値は、カロリーが半減することではなく、余分な脂が落ちて口当たりが軽くなることにあります。
【失敗パターン1】焼く前の重さと焼いた後の数値を掛け合わせてしまう
カロリー計算で最も多い失敗が、「買ったときの重さ200g」に「焼きの数値401kcal」を掛けて802kcalと計算してしまうパターンです。これは水分が抜けたぶんを二重に数えているので、実際より2〜3割多く見積もることになります。
原因は、成分表の「生」「焼き」がそれぞれ別の100gを指しているという前提が抜けていることです。生の重さで計算するなら生の数値を、焼き上がりを量ったなら焼きの数値を使う。この組み合わせを揃えるだけでズレはほぼ消えます。
対策はシンプルで、パックの表示重量で計算する場合は生の288kcalを使うと決めておくことです。200gのパックなら288×2=576kcal。焼き上がりを量るのは家庭では手間なので、「買った重さ×生の数値」に統一するほうが続きます。
ちなみにゆで414kcalが焼き401kcalよりわずかに高いのは、ゆでる過程で流出する成分と残る成分のバランスの違いによるものです。家庭の焼肉では「焼き」の値を基準にすれば十分で、ゆでの数値は煮込み料理を考えるときの参考程度に置いておけば足ります。
カルビ・牛タン・ヒレと並べたとき、ハラミは何番目か

単体の数字だけでは「高いのか低いのか」がわかりません。焼肉でよく頼む部位を同じ土俵に並べて、ハラミの立ち位置をはっきりさせます。
焼肉定番8種のカロリー・栄養比較表
すべて日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の「生」の値で、100gあたりに揃えています(お肉の教科書調べ)。
| 部位(100gあたり・生) | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | 鉄 | 亜鉛 |
|---|---|---|---|---|---|
| 和牛ばら(カルビ) | 472kcal | 11.0g | 50.0g | 1.4mg | 3.0mg |
| 乳用肥育牛ばら | 381kcal | 12.8g | 39.4g | 1.4mg | 2.8mg |
| 牛タン(舌) | 318kcal | 13.3g | 31.8g | 2.0mg | 2.8mg |
| ハラミ(横隔膜) | 288kcal | 14.8g | 27.3g | 3.2mg | 3.7mg |
| 和牛ヒレ(赤肉) | 207kcal | 19.1g | 15.0g | 2.5mg | 4.2mg |
| 和牛もも(赤肉) | 176kcal | 21.3g | 10.7g | 2.8mg | 4.5mg |
| 牛レバー(肝臓) | 119kcal | 19.6g | 3.7g | 4.0mg | 3.8mg |
| ハラミ(焼き)参考 | 401kcal | 21.1g | 37.2g | 4.1mg | 5.3mg |
数値の出典は文部科学省の食品成分データベースと、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年です。
カルビとの差は184kcal、牛タンとの差は30kcal
ハラミの288kcalは、和牛ばら(カルビ)の472kcalより184kcal低い数字です。同じ量を食べるなら差ははっきりしていて、ハラミを選ぶ意味は数字として存在します。脂質で見ると27.3g対50.0gで、差は22.7g。カルビの脂の多さが際立ちます。
一方、牛タンの318kcalとの差は30kcalしかありません。「牛タンはさっぱりしていてハラミはこってり」という印象を持つ人が多いのですが、成分表の上では牛タンのほうが脂質が多く(31.8g対27.3g)、エネルギーも高くなっています。舌の付け根側は脂が多い部位なので、見た目のあっさり感と数値は一致しないわけです。
逆にヒレ207kcal・もも赤肉176kcalと比べると、ハラミは明確に上です。「赤身っぽい見た目だからヒレと同じくらい軽い」と考えると、実際には1.4〜1.6倍のエネルギーを摂ることになります。ハラミは赤身グループではなく、脂のある部位グループの中で軽いほう、という位置づけが正確です。
同じ横隔膜なのにサガリと呼ばれるのはなぜ?
成分表に収載されているのは「横隔膜」の1項目だけで、ハラミとサガリは分けられていません。つまり栄養価の話をするかぎり、ハラミもサガリも同じ288kcal・たんぱく質14.8g・脂質27.3gとして扱われます。
呼び分けの根拠は横隔膜の中での位置です。肋骨側の膜状に広がった部分をハラミ、背中側にぶら下がる厚みのある部分をサガリと呼ぶのが一般的で、地域や店によって呼び方が入れ替わることもあります。同じ膜から取れるので、味の方向性も近い部位です。
買うときの見分け方としては、平たく面積の広いスライスならハラミ寄り、円柱に近い塊から切り出した厚みのある切り身ならサガリ寄りと考えると外しにくくなります。ただしラベル上はどちらも「牛横隔膜」と表示できるため、表示だけで断定はできません。
2つの違いをもう少し細かく知りたい人はこちらもどうぞ。

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「ハラミ=ヘルシー」というイメージはどこから来たのか
ハラミが低カロリーな部位だと語られやすいのは、比較対象が常にカルビだからです。焼肉の主役であるカルビと並べれば184kcal低いので、相対的に軽く見えます。ここに「赤身のような見た目」と「もたれにくい後味」が加わって、実際の数値以上にヘルシーな印象が定着しました。
ただ、比較対象をヒレやももに切り替えた瞬間、この印象は崩れます。もも赤肉176kcalに対してハラミは288kcalですから、112kcal高い。ヘルシーかどうかは相手次第で変わる相対評価だということを頭に入れておくと、メニュー選びの精度が上がります。
実用的な整理としては、「カルビの代わりに頼むならハラミは有効」「赤身狙いならヒレ・ももを選ぶ」の2軸で覚えるのがおすすめです。ハラミは脂の満足感を残しながらカルビより軽くしたい、という中間ニーズに刺さる部位です。
もうひとつ知っておくと得なのが、ハラミは脂の質として口の中でとろけるタイプではなく、噛んで旨味が出るタイプだという点です。少ない枚数でも満足感が出やすいので、結果として食べる量が抑えられることがあります。
鉄3.2mg・亜鉛3.7mgという、内臓肉ならではの強み
ハラミの本当の価値はカロリーではなくミネラルにあります。ここは精肉の部位と並べたときにはっきり差がつくところです。
鉄はカルビの2倍以上、亜鉛も上回る
ハラミ100gの鉄は3.2mg。和牛ばら(カルビ)の1.4mg、乳用肥育牛ばらの1.4mgと比べると2倍以上です。亜鉛も3.7mgで、カルビの3.0mg・牛タンの2.8mgを上回ります。焼きの状態なら鉄4.1mg・亜鉛5.3mgまで数字が上がります。
この差が生まれるのは、横隔膜が休みなく動き続ける筋肉だからです。呼吸のたびに収縮する筋肉は酸素を多く必要とし、酸素を運ぶミオグロビンや、それに含まれる鉄が多くなります。ハラミの赤みが濃いのは、この構造の反映です。
スーパーで選ぶときは、同じ「牛ハラミ」表示でも色の濃いものを選ぶと、この特性を活かしやすくなります。ただし色は時間経過やドリップでも変わるので、パックにドリップが溜まっているものは避け、色が濃くて表面が乾いていないものを基準にします。
なお、肉に含まれる鉄はヘム鉄と呼ばれるタイプで、植物性食品の鉄とは吸収の仕組みが異なります。ただし「これを食べれば貧血が治る」といった話ではありません。ミネラルの不足が気になる場合は自己判断でサプリメントに頼らず、医療機関に相談してください。
ビタミンB2とB12も肉の中では多いほう
ハラミにはビタミンB1が0.14mg、B2が0.35mg、B12が3.8μg、ナイアシンが4.0mg含まれています。B2とB12は精肉の赤身部位より高めの数字で、これも内臓グループらしい特徴です。
理由は同じく、代謝の激しい筋肉だからです。エネルギー代謝に関わるビタミンB群は、活動量の多い組織ほど多く含まれる傾向があります。横隔膜は生涯止まらずに動く部位なので、その分だけ数字に出ます。
ただし比較の相手をレバーにすると話は変わります。牛レバーのビタミンB12は53.0μgで、ハラミの3.8μgの10倍以上。B12の補給という観点ではレバーが桁違いです。ハラミの強みは「レバーほど癖がなく、焼肉の主菜として食べられる形でミネラルが摂れる」という食べやすさにあります。
ハラミは「カロリーが低い部位」ではなく「同じカロリー帯の中でミネラルが多い部位」です。カルビ(472kcal・鉄1.4mg)とハラミ(288kcal・鉄3.2mg)を並べると、エネルギーは低くミネラルは多いという組み合わせになります。数字を見て選ぶなら、ここがハラミを頼む一番の根拠になります。
脂質27.3gがエネルギーの大半を作っている
ハラミの288kcalのうち、どの成分がどれだけ担っているのかを見ておきます。脂質27.3gを1gあたり9kcalで単純計算すると約246kcal、たんぱく質14.8gを1gあたり4kcalで計算すると約59kcalです。
合計すると288kcalを超えてしまいますが、これは八訂の成分表がアミノ酸組成や脂肪酸のトリアシルグリセロール当量をもとにエネルギーを計算する方式に変わったためで、単純な掛け算とは一致しません。それでも「エネルギーの大半を脂質が作っている」という構図は変わりません。
この構図がわかると、ハラミのカロリーを下げる方法は1つしかないとわかります。脂を減らすことです。具体的には、パックの縁についている白い筋や膜を焼く前に切り落とす、網焼きで脂を落とす、といった処理が効きます。
逆に効かないのが「タレを塩に変える」だけの工夫です。味付けの違いは糖質と塩分には効きますが、肉そのものの脂質27.3gは動きません。カロリーを気にするなら、味付けより脂の処理と量に手をつけるほうが結果が出ます。
ダイエット中にハラミを頼むなら、どう食べるのが正解?
数字が出そろったところで、実際の食事にどう落とし込むかを考えます。ハラミは扱い方次第で味方にも落とし穴にもなる部位です。
糖質0.3gを活かすなら、味付けを塩系に寄せる
糖質制限をしている人にとって、ハラミの炭水化物0.3gは扱いやすい数字です。ただしこの数値を活かせるかどうかは味付けで決まります。甘みの強いタレを使うと、肉の糖質より調味料の糖質のほうが大きくなります。
理由は焼肉のタレの構成にあります。多くのタレは果実・糖類・みりん類で甘みを作っているため、大さじ単位で使えばそれなりの糖質が乗ります。肉のスペックを気にしてタレを気にしないのは、家計で言えば固定費だけ見て変動費を見ていない状態です。
実践としては、1皿目を塩・レモンで食べて肉そのものの味を確かめ、2皿目以降でタレを使う流れにすると、量をコントロールしやすくなります。わさびや粗挽きこしょうを添えると、タレなしでも単調になりません。
注意点として、塩に変えれば無制限に食べていいわけではありません。エネルギーの主役は脂質なので、味付けを変えても288kcal(生100gあたり)という基準は動きません。
読者タイプ別・ハラミの選び方
目的によって、ハラミが最適解になるかは変わります。3つのタイプに分けて整理します。
脂の満足感は欲しいがカロリーは抑えたい人には、ハラミは有力な選択肢です。カルビ472kcalに対して288kcalなので、同じ枚数を食べても差が出ます。噛んで旨味が出るタイプの部位なので、満足感が落ちにくいのも利点です。
たんぱく質を最優先したい人には、もも赤肉やヒレのほうが向いています。もも赤肉は176kcalでたんぱく質21.3g、ハラミは288kcalでたんぱく質14.8g。同じたんぱく質量を摂るのに必要なエネルギーがまったく違います。
鉄や亜鉛を意識したい人にはハラミが噛み合います。鉄3.2mg・亜鉛3.7mgは、カルビや牛タンより高い数字です。レバーが苦手で内臓系を避けてきた人でも、ハラミなら普通の焼肉として食べられます。
カルビとハラミの違いを、味・食感・分類の面から比べた記事もあわせて読むと選びやすくなります。

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【失敗パターン2】「ハラミならヘルシー」で皿数が増えてしまう
ありがちなのが、ハラミを選んだ安心感から皿数が増え、結果的にカルビを2皿食べるより多く摂ってしまうパターンです。100gで288kcalなので、300g食べれば864kcal。カルビ150g(708kcal)を上回ります。
原因は、部位を選んだ時点で「対策が済んだ」と感じてしまう心理です。1皿あたりの数字が下がっても、皿数が1.5倍になれば総量は増えます。カロリーは単価×数量で決まるという、当たり前の掛け算が抜け落ちるわけです。
対策は、部位ではなく総量で決めておくことです。「今日は肉を200gまで」と先に決めてから部位を選べば、ハラミの288kcalという単価の低さがそのまま効きます。焼肉店なら、頼む皿数を最初に決めてから注文する形が有効です。
もう1つ、締めのごはんや冷麺を計算に入れ忘れるのもよくある抜けです。肉の部位を吟味しても、締めの主食で数百kcalが乗るなら、部位選びの効果は打ち消されます。肉の話と主食の話は分けて考えるのが現実的です。
ハラミのカロリーと栄養を活かす焼き方は「厚みで火加減を変える」
ハラミは焼きすぎるとパサつき、生焼けだと衛生面のリスクが残る部位です。厚みごとの目安を持っておくと、失敗が減ります。
厚み1cmなら中火で片面2分が目安
家庭のフライパンや鉄板で焼く場合、厚み1cm程度のハラミは中火で片面2分ずつが基準です。焼肉店のような厚切り(2cm前後)なら、中火で片面2分焼いたあと、火を弱めて中心まで火を通す時間を追加します。
この火加減にする理由は、ハラミが脂を多く含む部位だからです。強火で一気に焼くと表面の脂が先に溶けて煙が上がり、中心に火が入る前に表面が焦げます。中火で脂をゆっくり溶かしながら焼くと、表面の焼き色と中心の火通りが揃います。
判断の目安は肉汁です。表面にじわりと肉汁が浮いてきたら裏返すタイミング。裏返してからは触りすぎず、押しつけて肉汁を絞り出さないようにします。焼き上がったら1分ほど休ませると、切ったときの流出が減ります。
注意点として、厚み1cmに満たない薄切りのハラミは火の通りが早いので、同じ感覚で2分焼くと硬くなります。薄切りは片面30〜40秒を目安に、中心の色が変わったことを確認して引き上げます。
下処理で筋と膜を落とすと食感が変わる
ハラミには膜状の筋が付いていることがあります。この筋は加熱しても柔らかくならず、噛み切れない食感の原因になります。焼く前に包丁で削ぎ落としておくと、口当たりが変わります。
筋を落とすと脂も一緒に減るため、結果的にエネルギーも下がります。脂質27.3gがエネルギーの大半を作っている部位なので、この一手間は数字の面でも効きます。落としすぎると旨味も削れるので、白く硬い部分だけを狙うのがコツです。
厚切りの場合は、繊維に対して垂直に浅く切り込みを入れておくと、噛み切りやすくなります。横隔膜は繊維が一方向に走っているので、切る向きを間違えると同じ肉でも硬く感じます。
買ってきたハラミは早めに使い切る
ハラミは内臓(副生物)に分類される部位で、精肉と比べて傷みやすい傾向があります。買ってきたら冷蔵庫のいちばん温度が低い場所に置き、パッケージに表示された消費期限に従って使い切るのが基本です。
期限の判断を自分の感覚で延ばすのは避けてください。表示されている期限は、その保存方法を守った場合の目安として設定されています。においや見た目に変化がなくても、期限を過ぎたものは加熱すれば大丈夫と考えないほうが安全側です。
すぐ使えない場合は、購入した日のうちに1回分ずつ小分けにして冷凍します。空気に触れる面積を減らすほど酸化や乾燥を抑えられるので、ラップで密着させてから保存袋に入れます。解凍は冷蔵庫内でゆっくり行うと、ドリップの流出が減ります。
内臓肉だからこそ知っておきたい、加熱と衛生のルール
ハラミは分類上は内臓です。おいしく食べるための知識と同じくらい、公的機関が示している衛生のルールを知っておく価値があります。
中心温度75℃で1分間以上が国の示す目安
厚生労働省は、食肉による食中毒を防ぐための加熱条件として「中心温度75℃で1分間以上の加熱が重要」と示しています。同等の条件として、70℃で3分、69℃で4分、68℃で5分、67℃で8分、66℃で11分、65℃で15分が妥当と考えられるとされています。
家庭で温度計を刺しながら焼くのは現実的ではないので、厚生労働省は見た目の目安として「中心部の色が白っぽく変化」することを挙げています。ハラミの場合、断面に赤い部分が残っていれば加熱が足りていないサインです。
詳しくは厚生労働省の食中毒予防:お肉はよく加熱して食べようを確認してください。低温調理を試したい場合は、食品安全委員会の肉を低温で安全においしく調理するコツに温度と時間の考え方がまとまっています。
注意したいのは、レアやミディアムで食べる焼き方は、この基準とは別の話だという点です。厚みのあるハラミを表面だけ焼いて中心を赤く残す食べ方は、国が示す加熱条件を満たしていません。
生食が禁止されている肉と、ハラミの位置づけ
厚生労働省は、牛のレバーと豚の肉(内臓を含む)について、生食用としての販売を禁止しています。牛レバーは平成24年(2012年)7月1日から、安全に生食するための有効な予防対策が見出されていないことを理由に禁止されました。
一方、生食用食肉の規格基準(平成23年10月1日施行)が対象としているのは、生食用食肉として販売される「牛の食肉(内臓を除く)」です。ハラミは成分表でも流通上でも内臓(副生物)として扱われるため、この規格基準の対象からは外れます。
つまり、ハラミには「生で食べるための基準」が用意されていません。基準がない以上、しっかり加熱して食べる前提で扱うのが妥当な判断になります。焼肉店でも家庭でも、中心まで火を通してから食べてください。
厚生労働省は「生や加熱不十分なお肉を食べたことによる食中毒が発生しています」と注意を呼びかけ、加熱の目安として中心温度75℃で1分間以上を示しています。また、牛のレバーや豚の肉(内臓を含む)は生食用としての販売が禁止されています。ハラミは内臓に分類され、生食用の規格基準が設けられている「牛の食肉(内臓を除く)」には含まれません。中心部の色が白っぽく変わるまで加熱してから食べてください。
トングと箸を分けるだけで二次汚染は減らせる
厚生労働省は、生肉についている病原体が手指や調理器具を介して他の食品に広がる二次汚染に注意するよう呼びかけています。焼肉でいえば、生肉をのせたトングでそのまま焼き上がった肉をつかむ行為がこれにあたります。
理由は単純で、加熱で肉の中の菌を減らしても、生肉に触れた器具から改めて菌が付けば意味がなくなるからです。トングの先端は生肉の表面に直接触れる部分なので、リスクの通り道になります。
家庭の焼肉では、生肉用のトング(または菜箸)と、食べる用の箸を最初から分けておくだけで対策になります。焼肉店で生肉用のトングが用意されている場合は、迷わずそちらを使ってください。
もう1つ見落とされがちなのが、生肉を扱ったまな板と包丁です。ハラミの筋を切ったまな板でサラダの野菜を切ると、同じ経路で汚染が広がります。肉を扱ったあとは器具を洗い、可能なら野菜用と分けて使うのが確実です。
妊娠中や体調に不安がある場合の考え方
妊娠中の人や、免疫の働きが弱まっている人は、加熱が不十分な食肉のリスクがより重く受け止められています。ハラミに限らず、肉は中心まで火を通したものを選ぶという前提を崩さないことが大切です。
この記事で扱っている数値は食品の成分と公的機関の注意喚起であって、個別の健康状態に対する助言ではありません。体調や持病、妊娠中の食事について判断が必要な場合は、かかりつけの医療機関や自治体の保健センターに相談してください。
外食では、焼き加減を自分で選べる場面もあります。その場合も、中心部の色が白っぽく変わっているかを目視で確認してから口に運ぶ習慣をつけておくと、判断に迷いません。
まとめ:ハラミは「低カロリー」ではなく「ミネラルが多い中間ポジション」
ハラミのカロリーと栄養を数字で追ってみると、「なんとなくヘルシー」というイメージの正体がはっきりします。カルビと比べれば184kcal低く、鉄も亜鉛も上回る。けれどヒレやもも赤肉と比べれば1.4〜1.6倍のエネルギーがあり、脂質27.3gがその大半を作っています。最初の一歩としておすすめしたいのは、次にスーパーでハラミを買うときにパックの重量表示を見て、288kcalを掛け算してみることです。100gあたりの数字は、自分が食べる量に換算して初めて意味を持ちます。
※本記事の成分値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の代表値です。ハラミは脂の付き方の個体差が大きく、実際の商品では数値が上下します。加熱や衛生に関する基準は、厚生労働省など公的機関の最新の案内をご確認ください。

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