鶏肉部位8種を成分表で比較|ささみ98kcalと手羽先207kcalで選ぶ使い分け

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スーパーの鶏肉売り場には、もも・むね・ささみ・手羽先・手羽もと、さらにレバーや砂肝まで並んでいます。「唐揚げにはどれを買えばいい?」「ダイエット中ならささみ一択?」と、パックを手に取ったまま迷ったことはありませんか。鶏肉は牛肉や豚肉ほど部位の種類が多くありません。そのぶん、ひとつひとつの違いを知っておくだけで、献立の失敗はぐっと減ります。

先に結論をお伝えすると、鶏肉部位を選ぶ軸は「脂の量」と「骨・皮の有無」の2つです。脂が多いもも肉はこってり料理に、脂が少ないむね肉・ささみはあっさり料理に、骨つきの手羽はスープや煮込みに向いています。この基本を押さえておけば、売り場で迷う時間はほとんどなくなります。

この記事では、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値をもとに、主要8部位のカロリー・タンパク質・脂質を比べながら、それぞれの特徴、料理別の使い分け、下ごしらえと冷凍保存のコツまでまとめました。数字を見ながら読むと、「なんとなく選んでいた部位」の理由がはっきり見えてきますよ。

📌 この記事でわかること

・鶏肉部位を「身・手羽・内臓」の3グループで整理する方法
・もも・むね・ささみなど8部位のカロリー・タンパク質・脂質の違い
・唐揚げ、蒸し鶏、煮込みなど料理別に向く部位の選び方
・パサつきや冷凍焼けを防ぐ下ごしらえと保存のコツ

目次

鶏肉部位の全体像|「身・手羽・内臓」の3グループで覚えよう

鶏肉部位の全体像|「身・手羽・内臓」の3グループで覚えようの解説画像

鶏肉の部位は、名前だけ並べると覚えにくく感じます。でも、売り場の並び方と同じように「身の部位」「骨つきの手羽」「内臓」の3グループに分けると、一気に頭に入ります。まずは全体の地図を持っておきましょう。

まず覚えたいのは「もも・むね・ささみ」の3部位

日常の料理で使う鶏肉の大半は、もも・むね・ささみの3部位でまかなえます。この3つが鶏肉の「身」の中心だと考えてください。

違いを生んでいるのは、脂の量です。もも肉は鶏の脚のつけ根から先端にかかる肉厚な部分で、よく動かす脚の肉だけに脂肪が豊富でコクがあります。むね肉は鶏の胸部の肉で、脂肪が少なく淡泊な味わい。ささみはむね肉の内側に沿った細長い部位で、3つの中で最も脂肪が少なくなっています。成分表の数値でも、もも肉(皮つき・生)の脂質は100gあたり14.2g、ささみ(生)は0.8gと、同じ鶏とは思えないほど開きがあります。

売り場での見分け方はシンプルです。皮つきで厚みがあり、断面にうっすら白い脂が見えるのがもも肉。平たく大きな塊で、色が淡いピンクなのがむね肉。細長く、中心に白い筋が1本通っているのがささみです。

豆知識として、家畜改良センター兵庫牧場の解説では、もも肉は日本人が最も好んでいる部位と紹介されています。迷ったらもも肉を基準にして、脂を控えたい日はむね肉やささみに置き換える、という考え方が家庭では使いやすいですよ。

手羽先・手羽もとは「骨つき」で別グループ

手羽先と手羽もとは、鶏の翼にあたる部位です。身の部位と違って骨がついたまま売られているので、別グループとして覚えておくと整理しやすくなります。

手羽先は翼の先端部分、手羽もとは翼の付け根部分です。どちらも骨のまわりに肉と皮がついているため、加熱すると骨まわりからコラーゲンとうま味が溶け出します。この「骨から出るうま味」こそが、手羽グループならではの持ち味です。身の部位では出せないコクが、スープや煮込みに加わります。

見分け方は形で一目瞭然です。先端がとがった「くの字」の形をしているのが手羽先、太い骨が1本通っていて、ドラムスティックのような形なのが手羽もとです。手羽先の中間部分を切り分けたものは「手羽中」として売られていることもあります。

注意したいのは、骨の重さもグラム数に含まれている点です。同じグラム数のパックでも、実際に食べられる肉の量は身の部位より少なくなります。量を見積もるときは「骨の分を差し引いて考える」と覚えておくと、人数分が足りなかったという失敗を防げます。

レバー・砂肝・ハツは「内臓部位」として売り場も別

レバー・砂肝・ハツは内臓の部位で、焼き鳥では定番の顔ぶれです。スーパーでは身の部位とは別の棚や、少量パックで並んでいることが多いグループです。

それぞれ、レバーは鶏の肝臓、砂肝は鶏の筋胃(食べたものをすりつぶす胃)、ハツは鶏の心臓です。同じ内臓でも役割がまったく違うため、食感も栄養も別物になります。レバーはやわらかくねっとり、砂肝はこりっとした歯ごたえ、ハツはぷりっとした弾力、というように食感で覚えると区別しやすいでしょう。

売り場では、レバーとハツがセットで「きも」として売られていることがあります。色の濃い赤褐色でやわらかい塊がレバー、小さく丸みがあって先がとがった形のものがハツです。砂肝は2つのこぶがつながったような形で、表面に銀色っぽい膜(銀皮)がついているのが目印です。

内臓部位は身の部位よりも傷みやすいので、買った日か翌日には使い切る前提で買うのがおすすめです。使う予定が決まっていないのに「安いから」とまとめて買うのは避けたほうが無難ですよ。

せせり・ぼんじり……焼き鳥店で見る名前はどこの部位?

焼き鳥店のメニューには、スーパーでは見かけない部位名も並んでいます。これらは、1羽から取れる量が少なく、家庭向けにはあまり流通しない部位だと考えるとわかりやすいです。

たとえば「せせり」は首まわりの肉、「ぼんじり」は尾の付け根まわりの肉です。どちらもよく動かす、あるいは脂がたまりやすい場所なので、身の部位とは違う食感やコクがあります。お店ごとに呼び名が違うこともあり、同じ部位を「ネック」「首肉」と表記している場合もあります。

こうした部位は、成分表に独立した項目がないものも多く、カロリーを知りたいときは近い部位の数値から推測するしかありません。鶏ハラミもそのひとつで、詳しい読み解き方は下の記事でまとめています。

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家庭で鶏肉を買う場面では、まずこの記事で扱う8部位を押さえておけば十分です。希少部位は「お店で楽しむ部位」と割り切っておくと、スーパーで探し回らずに済みます。

比較項目 身の部位 骨つきの手羽 内臓部位
主な部位 もも・むね・ささみ 手羽先・手羽もと レバー・砂肝・ハツ
味わいの軸 脂の量で変わる 骨からのうま味 食感の個性
向く料理 唐揚げ・蒸し鶏など万能 煮込み・スープ・揚げ物 串焼き・炒め物
買うときの注意 皮の有無を確認 骨の重さを含む 早めに使い切る
タンパク質(生)の比較チャート(鶏ハツ 14g・鶏砂肝 18g・鶏レバー 19g・鶏ささみ 24g)
タンパク質(生)の比較(お肉の教科書調べ・各公式サイトより、2026年9月時点)

もも・むね・ささみは何が違う?脂質14.2gと0.8gで別物になる

身の部位3つは、見た目が似ていても中身は別物です。ここでは成分表の数値と調理のしやすさから、それぞれのキャラクターを掘り下げます。

もも肉は脂のコクで「失敗しにくい万能部位」

もも肉は、鶏肉料理で迷ったときにまず選んで間違いのない部位です。焼く・煮る・揚げるのどれにも対応でき、多少火を通しすぎても硬くなりにくいからです。

その理由は脂の量にあります。もも肉(皮つき・生)は100gあたり190kcal、タンパク質16.6g、脂質14.2g。身の中にほどよく脂が入っているため、加熱しても水分が抜けにくく、ジューシーでやわらかい食感が残ります。家畜改良センター兵庫牧場の解説では「コクがあり、加熱すると鶏肉らしい香りがします」と紹介されており、遊離アミノ酸やタウリンが多いのも特徴です。

買うときは、皮の面積と脂のつき方をチェックしましょう。皮が身全体を覆っていて、裏側に黄色っぽい脂の塊が多くついているものは、下ごしらえで取り除く量が増えます。唐揚げや照り焼きなら皮つきのままでよく、煮物や親子丼でさっぱり仕上げたいなら皮なしのパックを選ぶと手間が省けます。

豆知識として、皮を外すと数値は大きく変わります。もも肉(皮なし・生)は113kcal、タンパク質19.0g、脂質5.0gです。同じもも肉でも、皮の有無で別の部位を選ぶくらいの違いが出る、と覚えておくと便利ですよ。

🥩 部位スペックカード:鶏もも肉
部位の位置鶏の脚のつけ根から先端にかかる肉厚な部分
カロリー(100gあたり)皮つき190kcal/皮なし113kcal
タンパク質・脂質皮つき16.6g・14.2g/皮なし19.0g・5.0g
食感・味の特徴脂肪が豊富でコクがあり、ジューシーでやわらかい
成分の特徴遊離アミノ酸とタウリンが多い
おすすめ調理法唐揚げ、ローストチキン、親子丼、照り焼き

むね肉は高タンパク・低脂肪だが「火の入れ方」が勝負

むね肉は、脂質を抑えながらタンパク質をしっかりとりたい人に向く部位です。ただし、もも肉と同じ感覚で調理すると硬くなりやすいので、火の入れ方にひと工夫が必要です。

むね肉(皮なし・生)は100gあたり105kcal、タンパク質23.3g、脂質1.9g。もも肉(皮つき)と比べると脂質がぐっと少なく、そのぶん淡泊な味わいになります。キッコーマンの解説でも「脂肪が少なく、淡泊な味わい。しっかりした肉質で食べ応えはあります」と紹介されています。脂が少ないということは、加熱で水分が抜けたときにそれを補うものがない、ということでもあります。

売り場では、皮つきと皮なしの両方が並んでいることが多いです。サラダチキンや蒸し鶏にするなら皮なし、唐揚げやソテーでコクを足したいなら皮つきを選ぶと、仕上がりのイメージと合わせやすくなります。表面にツヤがあり、パックにドリップ(赤い汁)がたまっていないものを選ぶと扱いやすいですよ。

もうひとつ知っておきたいのが、むね肉にはアンセリンやカルノシンが多く含まれている点です。家畜改良センター兵庫牧場の解説では、抗酸化作用を持つ成分として紹介されています。低脂肪なだけでなく、こうした成分面でも注目されている部位なんです。

ささみはタンパク質23.9gで鶏肉部位のトップ

ささみは、身の部位の中で最も脂が少なく、タンパク質が最も多い部位です。体づくりやダイエット中の食事で選ばれることが多いのは、この数値のためです。

ささみ(生)は100gあたり98kcal、タンパク質23.9g、脂質0.8g。日本ハムの部位解説でも「タンパク質が最も多い部位で、脂肪が少なく柔らかい」と紹介されています。むね肉と同じく脂が少ない部位ですが、筋肉の繊維が細かいため、加熱してもやわらかくしっとり感が残りやすいのが持ち味です。

具体的な使い方としては、酒蒸しにしてほぐし、サラダや和え物に使うのが定番です。形が細長くそろっているので、丸ごとフライやチキンカツにしても見栄えよく仕上がります。1本ずつ個包装された冷凍品もあり、少量ずつ使いたい一人暮らしの人には扱いやすいでしょう。

注意点は、中心に通っている白い筋です。これを残したまま加熱すると、筋が縮んで身が反り返り、口に残る硬さの原因になります。調理前に筋の端を指で押さえ、包丁の背でしごくように引き抜いておくと、食感がぐっとよくなりますよ。

失敗パターン①むね肉を強火で焼き続けてパサパサに

むね肉でいちばん多い失敗が、「中まで火が通ったか不安で、強火のまま焼き続けてしまう」ことです。結果、表面は硬く、噛むと繊維がほぐれてパサパサ、という仕上がりになります。

原因は、むね肉の脂の少なさにあります。キッコーマンの解説でも「脂肪が少なく、加熱しすぎると硬くなるため、火加減を見ながら加熱し、必要に応じて余熱も使うとしっとりと仕上げやすくなる」と説明されています。もも肉なら脂が水分の抜けを補ってくれますが、むね肉にはその助けがありません。強火で長時間加熱すると、肉のタンパク質が縮んで水分が押し出されてしまうのです。

対策は3つあります。まず、厚い部分に切り込みを入れて厚みをそろえること。次に、焼き色がついたら火を弱め、ふたをして蒸し焼きにすること。最後に、火を止めたあとすぐに切らず、そのまま少し置いて余熱で中まで火を通すことです。下ごしらえで酒をもみ込んでおくと、パサつき防止にもつながります(詳しくは後半の下ごしらえの章で解説します)。

ただし、鶏肉は中心部まで十分に加熱することが前提です。「しっとりさせたいから」と加熱を短くしすぎるのは本末転倒なので、切ったときに中心まで白く色が変わっているかを必ず確認してください。

骨つきの手羽先・手羽もとはどう使い分ける?

骨つきの手羽先・手羽もとはどう使い分ける?の解説画像

手羽は「おつまみ用」のイメージが強いかもしれませんが、実は料理の味の土台をつくる部位でもあります。手羽先と手羽もとの違い、そして骨つきならではの使い方を見ていきましょう。

手羽先は207kcalの濃厚派、皮のうま味を楽しむ部位

手羽先は、皮のうま味と骨まわりのコクを丸ごと楽しみたいときに選ぶ部位です。鶏肉部位の中でもこってりした味わいになります。

手羽先(皮つき・生)は100gあたり207kcal、タンパク質17.4g、脂質16.2g。この記事で扱う8部位の中で最もカロリーが高く、脂質ももも肉(皮つき)を上回ります。家畜改良センター兵庫牧場の解説では「肉も柔らかく皮付きで販売されているので、濃厚な味わい」と紹介されています。翼の先端は肉の量が少ないぶん、皮の比率が高くなり、それがこってりした味につながっています。

おすすめの食べ方は、から揚げや甘辛のたれを絡めた焼き物です。皮の脂が加熱で溶け出し、表面がパリッと仕上がります。煮込み料理やスープに入れると、骨まわりからコラーゲンとうま味が溶け出して、汁にコクが加わります。

注意したいのは、カロリーを気にしている人です。「鶏肉だからヘルシー」と思って手羽先をたくさん食べると、実はもも肉(皮つき)より高カロリーになります。脂を落としたい場合は、網焼きやオーブンで焼いて、溶け出た脂を落とす調理法を選ぶとよいでしょう。

手羽もとは175kcal、肉厚で煮込みの主役になる

手羽もとは、骨つきのうま味と食べ応えのある肉を両立したいときに向く部位です。煮込み料理の主役として使いやすいのが魅力です。

手羽もと(皮つき・生)は100gあたり175kcal、タンパク質18.2g、脂質12.8g。手羽先と比べるとカロリーも脂質も控えめで、タンパク質はやや多めです。翼の付け根にあたるため肉に厚みがあり、骨つきでうまみが強い部位です。骨まわりからコラーゲンとうま味が溶ける性質は手羽先と共通しています。

使い方としては、酢と醤油でさっぱり煮る、カレーやポトフに丸ごと入れる、といった「長めに煮る料理」と相性がよいです。煮込むほど骨から肉が離れやすくなり、箸でほぐせるやわらかさになります。から揚げにしても、肉厚なので食べ応えがあります。

豆知識として、手羽もとは骨に沿って包丁で切り込みを入れておくと、味がしみ込みやすく、火の通りも均一になります。子どもに出すときは、骨から身を外して盛りつけてあげると食べやすくなりますよ。

焼くなら手羽中、脂が適度で水分が抜けにくい

手羽を焼き物で楽しむなら、手羽先の中間部分を切り分けた「手羽中」が扱いやすい選択肢です。適度な脂で、焼いてもジューシーさが残ります。

キッコーマンの解説では、焼く場合のポイントとして「脂が適度にある部位(もも肉や手羽中)は焼いても水分が抜けにくく、ジューシーに仕上がる」と説明されています。手羽中は手羽先から先端のとがった部分を落としたもので、2本の細い骨の間に肉がついています。先端がないぶん食べやすく、焼き鳥感覚で手でつまめるのが魅力です。

売り場では「手羽中」「手羽中ハーフ」などの名前で売られています。ハーフは骨に沿って縦半分に切られたもので、火の通りが早く、フライパンでも手軽に焼けます。塩こしょうだけで焼いて、レモンを搾るだけでも十分おいしい一品になります。

注意点は、皮目から焼き始めることです。皮側を下にして焼くと脂が溶け出し、その脂で残りの面も焼けるので、油をほとんど足さずに済みます。裏返すタイミングは、皮に焼き色がついて縁がカリッとしてからにしましょう。

骨つきで煮るとコクが出るのは「骨まわりのうま味」のおかげ

スープや煮物にコクを出したいなら、身の部位ではなく骨や皮がある部位を選ぶのが近道です。同じ調味料でも、仕上がりの厚みが変わります。

キッコーマンの解説では、煮る場合のポイントとして「骨や皮がある部位を使うことで、うま味やコクが出やすくなる」と説明されています。手羽先や手羽もとは、加熱すると骨まわりからコラーゲンとうま味が溶け出し、スープや煮込み料理にしっかりとしたコクを与えてくれます。むね肉やささみだけで作ったスープが物足りなく感じるのは、この要素が少ないためです。

具体的には、鶏ガラスープの素を使わずに、手羽もと数本と野菜を水から煮るだけでも、十分にうま味のあるスープになります。冷蔵庫で冷やしたときに煮汁がぷるんと固まっていれば、コラーゲンがしっかり溶け出した証拠です。

注意したいのは、煮立てたときに出るアクです。こまめにすくわないと、スープが濁り、雑味が残ります。また、骨つき部位は火が通るまで時間がかかるため、身の部位と同じ感覚で煮る時間を短くしないようにしましょう。

Q. 唐揚げにするなら、手羽先と手羽もとはどっちがいい?
A. 皮のパリッと感と濃厚な味を楽しみたいなら手羽先、肉の食べ応えを重視するなら手羽もとがおすすめです。成分表では手羽先(皮つき)が207kcal・脂質16.2g、手羽もと(皮つき)が175kcal・脂質12.8gなので、脂を控えたい日は手羽もとを選ぶとよいでしょう。どちらも骨つきなので、中心部までしっかり火を通してください。

レバー・砂肝・ハツは栄養でどう違う?内臓部位の実力

内臓部位は「クセがありそう」と敬遠されがちですが、数値を見ると身の部位に負けない魅力があります。食感も栄養もそれぞれ個性的なので、ひとつずつ見ていきましょう。

レバーはビタミンAと鉄分が豊富、血抜きが下ごしらえの基本

鶏レバーは、ビタミンAと鉄分が豊富な部位です。やわらかくねっとりした食感で、焼き鳥や炒め物で活躍します。

鶏レバー(生)は100gあたり100kcal、タンパク質18.9g、脂質3.1g。脂質は身の部位でいえば、むね肉(皮なし)とささみの間くらいの控えめな水準です。日本ハムの部位解説では「ビタミンAと鉄分が豊富。血抜きしてから調理します」と紹介されています。肝臓は栄養を蓄える臓器なので、身の部位とは違う栄養的な特徴を持っているのです。

具体的な使い方は、串焼き、炒め物、レバニラ炒めなど。臭みが気になる人は、下ごしらえで血のかたまりや筋を取り除き、水にさらして血抜きをしてから調理すると、クセがやわらぎます。表面にハリとツヤがあり、色が鮮やかなものを選ぶのがポイントです。

牛・豚・鶏でレバーの栄養は違いがあります。3種類の比較は下の記事で詳しくまとめているので、あわせて読んでみてください。

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砂肝は86kcalで8部位中もっとも低カロリー

砂肝は、こりっとした歯ごたえが楽しめるうえ、この記事で扱う8部位の中で最もカロリーが低い部位です。おつまみにも、ヘルシーなおかずにも使えます。

鶏砂肝(生)は100gあたり86kcal、タンパク質18.3g、脂質1.8g。筋胃という、食べたものをすりつぶすための筋肉でできた胃なので、脂がほとんどなく、身が締まっています。日本ハムの部位解説でも「こりっとした歯ごたえがある。コリコリした食感が特徴で、高タンパク質」と紹介されています。

おすすめの調理法は、串焼き、唐揚げ、炒め物です。薄切りにしてにんにくと一緒に炒める「砂肝のアヒージョ風」や、ごま油と塩で和える一品は、手早く作れて食感も楽しめます。表面の銀皮は硬く、残すと噛み切りにくいので、気になる場合は包丁でそぎ取っておきましょう。

注意点は、加熱しすぎによる硬さです。もともと身が締まった部位なので、長く火を通しすぎるとゴムのような食感になります。薄めに切って、火が通ったらすぐに火から下ろすのが、コリコリ感をいかすコツです。

ハツは186kcal、実は内臓の中で脂が多い部位

ハツは、ぷりっとした弾力が魅力の心臓の部位です。「内臓は低脂肪」というイメージで選ぶと、意外な数値に驚くかもしれません。

鶏ハツ(生)は100gあたり186kcal、タンパク質14.5g、脂質15.5g。内臓3部位の中では突出してカロリーと脂質が高く、脂質だけを見るともも肉(皮つき)の14.2gを上回ります。心臓のまわりには脂肪がついていることが多く、それが数値に表れていると考えられます。日本ハムの部位解説では「ぷりっとした歯ごたえがある。弾力のある食感で、串焼きや炒め物に適している」と紹介されています。

具体的には、串焼き、炒め物、から揚げに向いています。縦半分に切って中の血のかたまりを取り除いておくと、臭みが出にくく、火の通りも早くなります。ハツのまわりの白い脂は、取り除けばさっぱり、残せばコクが出るので、好みに合わせて調整するとよいでしょう。

カロリーを気にしている人は、「内臓ならどれも低カロリー」と思い込まないことが大切です。低カロリーを狙うなら砂肝やレバー、コクを楽しみたいならハツ、と使い分けるのがおすすめです。

内臓部位を扱うときは「鮮度」と「加熱」を最優先に

内臓部位を安心して楽しむには、新鮮なうちに使い切ることと、中心部まで十分に加熱することが欠かせません。これは身の部位以上に意識したいポイントです。

鶏肉全般について、厚生労働省は生や加熱不足の鶏肉によるカンピロバクター食中毒への注意を呼びかけています。「新鮮だから生でも大丈夫」「焼き鳥店で半生で出てきたから家でも平気」といった考えは避けてください。レバーやハツは表面の色が変わっても中が生のことがあるため、切って中まで色が変わっているか確認しましょう。

家庭での具体的な対策としては、生の内臓を切ったまな板や包丁をそのまま野菜に使わないこと、焼くときのトングや箸を生肉用と食べる用で分けることが挙げられます。下ごしらえ後はすぐに冷蔵庫に入れ、調理までの時間を短くするのも大切です。

豆知識として、スーパーのパックに「加熱用」と表示されているものは、加熱して食べることを前提にした商品です。表示を確認する習慣をつけておくと、うっかりのリスクを減らせますよ。

⚠️ 注意:鶏肉の生食・加熱不足は避けましょう

厚生労働省は、鶏肉の生食や加熱不足によるカンピロバクター食中毒への注意を呼びかけています。レバーやハツなどの内臓部位も含め、鶏肉は中心部まで十分に加熱してください。生肉を扱ったまな板・包丁・トングは、野菜や焼き上がった肉に使う前に洗うか、別のものを使うようにしましょう。妊娠中の人や小さな子ども、高齢の人は特に注意が必要です。

鶏肉部位のカロリー・タンパク質を成分表で一覧比較

鶏肉部位のカロリー・タンパク質を成分表で一覧比較の解説画像

ここまで紹介した8部位の数値を、一覧にまとめました。部位ごとの位置づけが、数字で見るとはっきりわかります。

部位(100gあたり) カロリー タンパク質 脂質
もも肉(皮つき・生) 190kcal 16.6g 14.2g
もも肉(皮なし・生) 113kcal 19.0g 5.0g
むね肉(皮なし・生) 105kcal 23.3g 1.9g
ささみ(生) 98kcal 23.9g 0.8g
手羽先(皮つき・生) 207kcal 17.4g 16.2g
手羽もと(皮つき・生) 175kcal 18.2g 12.8g
レバー(生) 100kcal 18.9g 3.1g
砂肝(生) 86kcal 18.3g 1.8g
ハツ(生) 186kcal 14.5g 15.5g

お肉の教科書調べ(出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」/食品成分データベース)

カロリーで並べると「砂肝→ささみ→レバー」が低い順

カロリーの低さだけで選ぶなら、砂肝86kcal、ささみ98kcal、レバー100kcalの順になります。「ダイエットにはささみ」というイメージがありますが、数値上は砂肝のほうが低いのです。

カロリーの高低を決めているのは、主に脂質の量です。脂質は同じ重さあたりのエネルギーがタンパク質より大きいため、脂が多い部位ほどカロリーが上がります。表を見ると、脂質が1.8gの砂肝、0.8gのささみ、3.1gのレバーが低カロリー帯に、脂質16.2gの手羽先、15.5gのハツ、14.2gのもも肉(皮つき)が高カロリー帯に並んでいることがわかります。

具体的な使い方としては、「今日は軽めにしたい」という日はささみや砂肝を主菜に、「しっかり食べたい」という日はもも肉や手羽をメインにする、というように日によって切り替えるのがおすすめです。砂肝は炒め物にするとボリュームが出るので、低カロリーでも満足感を得やすいですよ。

注意点は、表の数値が「生」の状態である点です。唐揚げにすれば衣と油、照り焼きにすればたれの糖分が加わるため、実際に食べるときのカロリーは調理法で変わります。部位選びと同じくらい、調理法も意識しておきましょう。

タンパク質をとるならささみ23.9g・むね肉23.3gが二強

タンパク質を効率よくとりたいなら、ささみ(23.9g)とむね肉(皮なし・23.3g)が二強です。筋トレや体づくりの食事で鶏肉が選ばれる理由が、この数値に表れています。

この2部位は、タンパク質が多いうえに脂質が少ないのが強みです。ささみは脂質0.8g、むね肉(皮なし)は1.9g。つまり、カロリーの大部分をタンパク質が占めていることになります。一方でハツはタンパク質14.5gに対して脂質15.5gと、脂質のほうが多い部位です。同じ鶏肉でも、「タンパク質源」として見たときの効率はまったく違います。

毎日の食事で取り入れるなら、ささみは蒸してサラダや和え物に、むね肉は下ごしらえをしてから蒸し鶏や棒々鶏に、と調理法を分けると飽きにくくなります。むね肉に含まれるビタミンB6は、タンパク質を体で使うときに関わる栄養素としても知られています。

ただし、タンパク質さえとればいいというわけではありません。この記事は食事のバランスや持病に関する助言を目的としたものではないので、食事制限が必要な人は、医師や管理栄養士に相談したうえで取り入れてください。

実は「部位の違い」より「皮を外すか」で数値が大きく変わる

意外と知られていないけれど、鶏肉のカロリーは「どの部位を選ぶか」と同じくらい、「皮を食べるかどうか」で大きく変わります。もも肉を例にすると、その影響がよくわかります。

もも肉は皮つき(生)で190kcal・脂質14.2gですが、皮なし(生)になると113kcal・脂質5.0gまで下がります。この113kcalという数値は、むね肉(皮なし)の105kcalにかなり近い水準です。つまり、「もも肉は高カロリーだからむね肉に替える」と考える前に、「もも肉の皮を外す」だけでも、カロリーはむね肉に近づくのです。タンパク質も皮つき16.6gから皮なし19.0gに増えます。

具体的には、煮物や親子丼、炒め物のように皮のパリッと感が必要ない料理なら、もも肉の皮を外して使うのがおすすめです。もも肉のジューシーさとコクは残しつつ、脂を控えられます。外した皮は捨てずに、フライパンでじっくり焼いて脂を出し、鶏皮せんべいにする楽しみ方もあります。

注意したいのは、パックの表示です。成分表の数値は「皮つき」「皮なし」で分かれているので、カロリー計算をするときは、自分が買った肉がどちらかを確認してから数値を当てはめるようにしましょう。

むね肉のイミダゾールペプチドはもも肉の2倍以上

むね肉には、イミダゾールペプチドと呼ばれる成分が多く含まれています。低脂肪・高タンパクに加えて、もうひとつの特徴として知っておくと、むね肉を選ぶ理由が増えます。

リサーチで確認したデータでは、むね肉のイミダゾールペプチドは100gあたり1223mg、もも肉は467mgとされています。イミダゾールペプチドは、先ほど紹介したアンセリンやカルノシンの総称です。鶏の胸の筋肉は翼を動かすために使われるため、こうした成分が多く含まれていると考えられています。

日常の料理では、むね肉を「もも肉の代わりの節約食材」としてだけでなく、「特徴のある部位」として取り入れてみてください。蒸し鶏やスープにすれば、ゆで汁ごと使えるので、肉から溶け出した成分も無駄にしにくくなります。

ただし、特定の成分をとれば体に何かの効果がある、と断定できるものではありません。成分の数値は「部位の個性を知るための情報」として受け取り、あくまで普段の食事の中で、ほかの食材と組み合わせて楽しむのがおすすめです。

料理別に選ぶなら?唐揚げ・蒸し鶏・煮込みの正解部位

部位の特徴がわかったら、次は料理に当てはめてみましょう。料理のタイプごとに向く部位を決めておくと、買い物がスムーズになります。

料理のタイプ 第一候補 代わりに使える部位 選ぶ理由
唐揚げ・照り焼き もも肉 手羽先・手羽もと 脂でジューシーに仕上がる
蒸し鶏・サラダ むね肉・ささみ 皮なしもも肉 脂が少なくあっさり
スープ・煮込み 手羽もと・手羽先 皮つきもも肉 骨と皮からコクが出る
焼き物・串焼き もも肉・手羽中 砂肝・ハツ・レバー 水分が抜けにくい

唐揚げ・照り焼きなど「こってり系」はもも肉が基本

唐揚げや照り焼きのように、しっかりした味つけで満足感を出したい料理には、もも肉を選ぶのが基本です。家庭で作って失敗しにくいのも、もも肉の強みです。

家畜改良センター兵庫牧場の解説でも、「こってり系の料理(唐揚げ・照り焼き)にはもも肉、あっさり系(スープ・蒸し鶏)にはむね肉やささみを選ぶと失敗しません」と紹介されています。もも肉は脂が適度にあるため、揚げても焼いても水分が抜けにくく、衣やたれに負けないコクが残ります。

唐揚げなら、皮つきのもも肉を一口大に切り、皮で身を包むように形を整えて揚げると、衣の中で肉汁が保たれます。照り焼きなら、皮目を下にしてフライパンに入れ、脂を出しながらじっくり焼いてから、たれを絡めるのがコツです。出てきた余分な脂はペーパーで拭き取ると、たれがよく絡みます。

豆知識として、むね肉で唐揚げを作ることもできます。その場合は、下ごしらえで酒をもみ込み、揚げすぎないようにするのがポイントです。もも肉よりさっぱりした唐揚げになるので、脂っぽいものが苦手な家族がいる場合は、2種類作って食べ比べてみるのもおすすめですよ。

蒸し鶏・スープなど「あっさり系」はむね肉・ささみ

蒸し鶏、サラダチキン、棒々鶏、スープのようなあっさり系の料理には、むね肉やささみが向いています。脂が少ないぶん、素材の淡泊な味わいをいかせます。

むね肉(皮なし)は脂質1.9g、ささみは0.8gと、脂がほとんどありません。蒸したりゆでたりしても脂が浮かないので、冷やして食べる料理や、スープの澄んだ仕上がりを大切にしたい料理と相性がよいのです。むね肉は棒々鶏や焼き鳥、蒸し鶏に、ささみは酒蒸しやサラダ、和え物に使うのが定番です。

具体的には、むね肉は厚い部分に切り込みを入れて厚みをそろえてから、酒をふって蒸し、火を止めたあとそのまま置いて余熱で火を通すと、しっとり仕上がります。ささみは筋を取ってから酒蒸しにして、手でほぐすと味がなじみやすくなります。

注意点は、あっさり系ほど加熱しすぎの影響が出やすいことです。脂の少ない部位は、加熱しすぎると硬くなります。火加減を見ながら加熱し、余熱も使うのが基本ですが、中心部まで火が通っているかは必ず確認してください。

焼く料理は「脂の量」で部位を選ぶと仕上がりが安定する

フライパンや網で焼く料理では、脂の量が仕上がりを左右します。脂が適度にある部位を選ぶか、脂が少ない部位なら焼き方を変えるか、どちらかを意識しましょう。

キッコーマンの解説によると、脂が適度にある部位(もも肉や手羽中)は焼いても水分が抜けにくく、ジューシーに仕上がります。一方、むね肉やささみは脂が少なく、加熱しすぎると硬くなるため、火加減を見ながら加熱する必要があるとされています。つまり、焼き物の「失敗しにくさ」は、部位の脂の量でほぼ決まるのです。

家で焼き鳥風にするなら、もも肉や手羽中は塩をふって皮目から焼くだけで十分おいしくなります。砂肝やハツ、レバーも串焼き向きの部位なので、ホットプレートで何種類か並べて焼けば、おうち焼き鳥が楽しめます。むね肉を焼く場合は、薄めのそぎ切りにしてから焼くと、火が通りやすく硬くなりにくいですよ。

肉の種類ごとの焼き方の基本は、下の記事でも牛・豚・鶏を比べながら解説しています。

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シーン別おすすめ|ダイエット・体づくり・家族のごはん・おつまみ

最後に、読者のシーンごとにおすすめの部位を整理します。自分の目的に近いものから試してみてください。

ダイエット中の人には、砂肝(86kcal)とささみ(98kcal)がおすすめです。砂肝は炒め物にするとボリュームが出て、ささみはサラダや和え物で量を増やしやすい部位です。もも肉を使いたい日は、皮を外すだけで113kcalまで下げられます。

筋トレや体づくりをしている人には、ささみ(タンパク質23.9g)とむね肉(皮なし・23.3g)が向いています。毎日同じ調理法だと飽きやすいので、ささみは蒸し料理、むね肉はスープや棒々鶏と、使い分けると続けやすくなります。

家族のごはんを作る人には、もも肉を中心に、むね肉やささみでバランスをとるのがおすすめです。唐揚げや照り焼きはもも肉、翌日のスープや和え物はむね肉、と組み合わせれば、同じ鶏肉でも献立に変化が出ます。価格を重視するなら、むね肉や手羽の安さも魅力です。部位ごとの値段の違いは、下の記事で詳しく解説しています。

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お酒のおつまみを作りたい人には、手羽先、砂肝、ハツが向いています。手羽先は甘辛揚げ、砂肝はにんにく炒め、ハツは塩焼きにすると、それぞれの食感とコクを楽しめます。いずれも中心部まで十分に火を通すことを忘れずに。

買ってからの下ごしらえと冷凍保存で仕上がりが変わる

同じ部位を買っても、家での下ごしらえと保存の仕方で、仕上がりは大きく変わります。ここでは、調理前にやっておきたいことと、冷凍保存のコツを紹介します。

🔥 鶏肉の下ごしらえの手順
Step1:余分な皮や脂肪、血のかたまりを取り除く
↓
Step2:太い筋をカットして、食べたときの食感をよくする
↓
Step3:厚い部分に切り込みを入れ、火の通りを均一にする
↓
Step4:むね肉は酒をもみ込んでパサつきを防ぐ
↓
完成! すぐ使わない分は、ラップでぴったり包んで平らにして冷凍します

まずは余分な皮・脂肪・血のかたまりを取り除く

鶏肉を買ってきたら、最初にやりたいのが、余分な皮や脂肪、血のかたまりを取り除くことです。このひと手間で、臭みと脂っぽさがぐっと減ります。

キッコーマンの解説でも、下ごしらえの基本として「余分な皮や脂肪、血のかたまりを取り除く」ことが挙げられています。特にもも肉は、身からはみ出した皮や、裏側の黄色い脂の塊が多くついています。これらは加熱しても溶けきらずに残り、脂っぽさや独特のにおいの原因になります。血のかたまりも、加熱すると黒っぽくなり、見た目と風味を損ねます。

具体的には、キッチンペーパーで肉の表面の水気を拭き取り、はみ出した皮を包丁で切り落とします。裏返して、黄色い脂の塊や赤黒い血の部分を包丁の先でこそげ取りましょう。レバーやハツも同じように、血のかたまりや筋を取り除いてから調理します。

注意点は、皮を全部取るかどうかは料理次第ということです。唐揚げや照り焼きでは皮がうま味とパリッと感を生むので、はみ出した部分だけを整えれば十分です。脂を控えたい煮物や炒め物なら、皮をすべて外す、というように料理に合わせて調整しましょう。

太い筋を切り、厚い部分に切り込みを入れて火の通りをそろえる

次にやりたいのが、筋を切ることと、厚みをそろえることです。この2つで、焼き縮みと加熱ムラを防げます。

キッコーマンの解説では、「太い筋をカットして食感を改善」「厚い部分に切り込みを入れ、火の通りを均一に」と説明されています。筋は加熱すると縮むため、そのままだと肉が反り返ったり、口に残る硬さの原因になったりします。また、もも肉やむね肉は場所によって厚みが違うため、そのまま焼くと、薄い部分に火が通りすぎて、厚い部分がまだ生、という状態になりやすいのです。

もも肉は、白っぽく見える筋に沿って、包丁の先で数か所切り込みを入れます。むね肉は、分厚い中央部分に包丁を寝かせて切り込みを入れ、左右に開くようにすると厚みがそろいます。こうして厚さを均一にしておけば、焼く時間の見当もつけやすくなります。ささみは中心の白い筋を引き抜いておきましょう。

豆知識として、切り込みを入れると下味もしみ込みやすくなります。唐揚げや照り焼きの下味をつける前に、この工程を済ませておくと、味のなじみ方が変わりますよ。

むね肉は酒をもみ込むとパサつきにくくなる

むね肉を調理するときは、下ごしらえで酒をもみ込んでおくのがおすすめです。パサつきを防ぎ、しっとりした仕上がりに近づけられます。

キッコーマンの解説でも、むね肉の下処理として「パサつき防止に酒をもみ込む」ことが紹介されています。むね肉は脂が少なく、加熱で水分が抜けると硬くなりやすい部位です。調理前に酒をもみ込んで水分を補っておくことで、加熱後の食感がやわらかくなります。酒には、鶏肉の臭みをやわらげる役割もあります。

やり方は簡単です。切り込みを入れて厚みをそろえたむね肉をポリ袋に入れ、酒を加えて袋の上からもみ込み、冷蔵庫でしばらく置いておきます。そのあと、蒸し鶏なら酒ごと蒸す、唐揚げなら軽く汁気を切ってから下味と衣をつける、というように使い分けましょう。

注意点は、もみ込んだあとの肉を常温に長く放置しないことです。下ごしらえ中も、肉は冷蔵庫で管理するのが基本です。お子さんが食べる場合は、加熱でアルコールを飛ばすことも意識しておきましょう。

失敗パターン②パックのまま冷凍して霜と変色だらけに

鶏肉の保存でありがちな失敗が、「特売でまとめ買いして、買ってきたパックのまま冷凍庫に入れる」ことです。解凍してみると、表面に白い霜がつき、パサパサで臭みが出ている、ということになりがちです。

原因は、肉と空気が触れていることと、凍るまでに時間がかかることです。キッコーマンの解説では、冷凍保存の方法として「ラップでぴったり包みジッパー袋へ。平らな状態で短時間に凍らせることで、組織破壊を防ぎます」と説明されています。パックの中には空気のすき間があり、分厚い塊のままでは中心まで凍るのに時間がかかります。そのあいだに肉の組織が傷み、解凍時にドリップとして水分とうま味が流れ出てしまうのです。

対策は、買ってきたらその日のうちに下ごしらえを済ませ、1回に使う量ずつ小分けにすることです。ラップで空気が入らないようぴったり包み、ジッパー袋に入れて空気を抜き、平らにならしてから冷凍庫へ。平らにしておくと早く凍るうえ、使うときも必要な分だけ折って取り出せます。袋に部位名と冷凍した日付を書いておくと、使い忘れを防げます。

保存期間について、キッコーマンの解説では目安を約1ヶ月としています。これはあくまで品質をおいしく保つための目安で、冷凍庫の開け閉めの頻度や包み方によって状態は変わります。解凍したときに変色やにおいが気になる場合は、無理に使わないようにしましょう。冷凍焼けの原因と防ぎ方については、下の記事で詳しく解説しています。

まとめ|鶏肉部位は「脂の量」と「骨・皮」で選べば迷わない

🥩 この記事の結論

鶏肉部位は脂の量で選ぶのが基本で、こってり料理はもも、あっさり料理はむね・ささみが向きます。まず作る料理を決めてから部位を選びましょう。

✅ 要点チェック
  • ✔ もも肉:脂のコクで唐揚げ・照り焼き向き
  • ✔ むね肉・ささみ:高タンパクで蒸し鶏・サラダ向き
  • ✔ 手羽:骨からのうま味でスープ・煮込み向き
  • ✔ 内臓:砂肝は86kcal、ハツは脂が多め
  • ✔ 保存:小分けにして平らに冷凍する

次に鶏肉を買うときは、パックを手に取る前に「今日はこってり系か、あっさり系か」を決めてみてください。それだけで、もも・むね・ささみ・手羽のどれを選ぶかが自然と決まり、下ごしらえと冷凍の段取りまでスムーズに進みます。

※栄養成分の数値は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の生の状態の値で、調理法によって変わります。食中毒予防の最新情報は厚生労働省などの公式サイトでご確認ください。

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この記事を書いた人

『お肉の教科書』編集部。牛肉・豚肉・鶏肉の部位やホルモンの種類、焼肉をおいしく食べるコツ、お肉の選び方を、公的機関の情報や一次情報をもとにわかりやすく解説しています。

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