焼肉店のメニューで「ミノ」「シマチョウ」「ギアラ」と並んでいても、どれが胃でどれが腸なのか、パッと言える人は多くありません。ホルモンは牛1頭からたくさんの種類が取れる内臓の総称で、部位ごとに食感もカロリーも別物です。「クセが強そう」「太りそう」というイメージだけで避けているなら、正直もったいない部位がいくつもあります。
この記事では、焼肉好きの友人に教えてもらう感覚で、ホルモンの部位一覧を「胃・腸・心臓・肝臓」と系統立てて整理します。牛の代表10部位はもちろん、豚や鶏のホルモンまで動物別に一気に把握できる構成にしました。カロリーやタンパク質は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の数値をそのまま使うので、「なんとなく高カロリー」という思い込みもここで手放せます。
結論を先に言うと、ホルモンは部位さえ選べば赤身ステーキより低カロリーなものもあり、焼き方さえ間違えなければ家でも十分おいしく食べられます。まずは名前と場所を一致させるところから始めましょう。
・ホルモンとは何を指すのか、赤モツ・白モツの分け方
・牛の代表10部位(胃・腸・心臓・肝臓)の場所と食感
・部位別カロリー・タンパク質を成分表の数値で比較
・豚・鶏のホルモンの部位一覧と、安全でおいしい焼き方
そもそもホルモンとは?「放るもん」が名前の由来という説

ホルモンとは、牛や豚の内臓系の部位をまとめて指す言葉です。胃・腸・心臓・肝臓・舌・横隔膜など、いわゆる「モツ」と呼ばれる部位のほぼすべてが含まれます。骨や皮を除いた内臓は牛1頭でかなりの重量になり、部位の数だけで20種類以上に分かれます。まずは「ホルモン=内臓全般の総称」と押さえておけば、メニューの見え方が変わります。
語源は関西弁の「放るもん」?諸説あるけれど覚えやすい
ホルモンの語源には、かつて捨てられていた内臓を関西弁で「放るもん(ほうるもん)」と呼んだのが始まり、という説が広く知られています。医学用語のホルモン(hormone)と結びつける説もあり、由来は一つに定まっていません。ただ、どちらの説でも「昔はあまり食べられていなかった部位が、工夫次第でごちそうになった」という背景は共通しています。今では希少部位として1頭からわずかしか取れないものも多く、「捨てるもの」どころか取り合いになる存在です。名前の由来を知っておくと、内臓を大切に使い切る焼肉文化の面白さが見えてきます。
赤モツと白モツ、この2分類を知ると一気に整理できる
ホルモンは大きく「赤モツ」と「白モツ」に分けると理解が早くなります。赤モツは心臓(ハツ)・肝臓(レバー)・舌(タン)・横隔膜(ハラミ)など、血の色が濃く筋肉に近い部位。白モツは胃や腸など、白っぽくて脂を含む消化器系の部位を指します。焼肉店で「モツ」というと白モツ、つまり胃腸系をイメージする人が多いのはこのためです。赤モツは肉に近い歯ごたえと旨味、白モツは脂の甘みとプリプリ感が魅力、と覚えておくと、初めての部位でも味の想像がつきます。まずはこの2分類で仕分けるのが、ホルモンの部位一覧を丸暗記せずに済むコツです。
1頭から取れる量はごくわずか、だから希少部位が生まれる
内臓は正肉(ロースやバラなどの一般的な肉)と違い、1頭に1つずつしかない部位が多いのが特徴です。心臓も肝臓も横隔膜も、牛1頭からそれぞれ1個・1対しか取れません。たとえば横隔膜(ハラミ・サガリ)は1頭からごく少量しか取れないため、焼肉店でも品切れになりやすい部位です。腸のように長さのある部位でも、下処理で使える部分は限られます。「希少部位」という言葉が内臓に多いのは、こうした構造上の理由があるからです。数が少ないぶん鮮度管理も難しく、扱う店の目利きが問われる部位でもあります。
ホルモンの部位一覧|牛の代表10部位を早わかり
牛のホルモンは細かく分ければ20種類を超えますが、焼肉店でよく見かける代表的な部位はある程度決まっています。ここでは「胃・腸・その他の赤モツ」に分けて、代表10部位を一覧で押さえます。名前と場所さえ一致すれば、あとは食感の好みで選べるようになります。
まずはこの表で「どこの内臓か」を一気に把握
下の比較表は、代表10部位が体のどこにあたるか、食感とクセの強さの目安をまとめたものです。クセの強さは一般的な傾向で、鮮度や下処理でかなり変わります。初心者はクセ控えめのハツ・センマイ・ミノあたりから、脂の甘みを楽しみたいならマルチョウやギアラへ、と段階を踏むのがおすすめです。表で全体像をつかんでから、次のH2以降で胃・腸をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
| 部位名 | 体のどこ | 食感 | クセの目安 |
|---|---|---|---|
| ミノ | 第一胃 | コリコリ | 弱い |
| ハチノス | 第二胃 | やわらか | 弱い |
| センマイ | 第三胃 | コリコリ・薄い | 弱い |
| ギアラ | 第四胃 | プリッと厚み | 中 |
| マルチョウ | 小腸 | 脂ジューシー | 中 |
| シマチョウ | 大腸 | 厚く歯ごたえ | 中 |
| ハツ | 心臓 | サクッと軽い | 弱い |
| レバー | 肝臓 | 濃厚ねっとり | やや強い |
| タン | 舌 | サクッと弾力 | 弱い |
| ハラミ | 横隔膜 | やわらか赤身風 | 弱い |
実は「タン・ハラミ」もホルモンの仲間だった
意外と知られていませんが、牛タンや、焼肉で人気のハラミもホルモン(内臓)に分類されます。タンは舌の筋肉、ハラミは横隔膜という呼吸に使う筋肉で、どちらも見た目や食感が赤身肉に近いため「お肉」だと思われがちです。実際、精肉店での取り扱いも内臓(副生物)の枠です。「ホルモン=クセの強い胃腸系」というイメージだけを持っていると、この2つがホルモンだと知って驚く人は少なくありません。逆に言えば、タンやハラミが好きな人は、すでにホルモンの入り口に立っているということ。胃腸系にも挑戦してみる価値は十分あります。

焼肉店のメニューで必ず見かける「ハラミ」。赤身のようにジューシーで、カルビよりあっさりしていて食べやすい——そんな人気部位ですが、「ハラミって結局どこの部位なの…
部位名の「地方名・別名」に振り回されないコツ
ホルモンは地域や店によって呼び名がバラバラなのが厄介なところです。シマチョウは「テッチャン」、マルチョウは「コプチャン」「丸腸」、ギアラは「赤センマイ」、ハラミの一部は「サガリ」と、同じ部位でも複数の名前が飛び交います。見分けるコツは、名前ではなく「胃なのか腸なのか、赤モツか白モツか」で捉えること。たとえば「テッチャン」と言われても、大腸=シマチョウの別名だとわかれば、厚みのある歯ごたえ系だと予想できます。メニューで知らない名前に出会ったら、店員さんに「これは胃ですか腸ですか」と一言聞くだけで、味の見当がつくようになります。
牛の4つの胃袋を食べ比べ|ミノ・ハチノス・センマイ・ギアラの違い

牛は「反芻(はんすう)動物」で、胃を4つ持っています。この4つはすべてホルモンとして食べられ、それぞれ食感がまったく違うのが面白いところ。第一胃から順にミノ・ハチノス・センマイ・ギアラと呼ばれ、白モツの代表格です。順番に特徴を見ていきましょう。
第一胃「ミノ」は厚みとコリコリ感、白モツの王道
ミノは牛の第一胃で、4つの胃のなかで最も大きく、胃全体の大部分を占めます。肉厚で白く、コリコリとした歯ごたえが特徴で、白モツの入門にぴったりの部位です。特に厚みのある部分に切れ込みを入れた「上ミノ」は、脂の甘みも感じられて人気があります。成分表では第一胃(ゆで)100gあたり166kcal、たんぱく質24.5g、脂質8.4gと、胃のなかではタンパク質が際立って多いのが数字にも表れています。クセが少ないので、ホルモンが初めてでも食べやすい部位です。下処理済みのものを、強火でサッと表面を焼くのがコリコリ感を活かすコツです。
| 部位の位置 | 牛の第一胃(4つの胃で最大) |
| カロリー(ゆで100gあたり) | 166kcal |
| タンパク質・脂質 | たんぱく質24.5g/脂質8.4g |
| 食感・味の特徴 | コリコリ、クセ控えめ、脂の甘み |
| 呼び名・別名 | 上ミノ・ミノサンド(厚い部分) |
| おすすめ調理法 | 強火でサッと、焼肉・炒め物 |
第二胃「ハチノス」と第三胃「センマイ」は食感が正反対
第二胃のハチノスは、胃壁が蜂の巣のような六角形の模様になっているのが名前の由来です。生のままだと硬めですが、下茹でするとやわらかくなり、イタリア料理のトリッパ(煮込み)でもおなじみ。第三胃のセンマイは、無数のヒダが「千枚」に見えることからその名がつきました。薄いヒダのコリコリした独特の歯ごたえで、生センマイや焼センマイとして提供されます。成分表では第二胃(ゆで)186kcal・たんぱく質12.4g・脂質15.7g、第三胃(生)はわずか57kcal・たんぱく質11.7g・脂質1.3g。同じ胃でも、脂の量がこれだけ違うのは驚きです。センマイは酢味噌でさっぱり食べるのが定番です。
第四胃「ギアラ」は脂がのった赤センマイ、焼き加減が肝心
第四胃のギアラは、人間の胃に近い働きをする消化器で、赤みがかっているため「赤センマイ」とも呼ばれます。4つの胃のなかで最も脂がのり、噛むほどに甘みと濃厚な旨味が出るのが魅力。特に上部の肉厚な「ギアラ芯」は人気があります。成分表では第四胃(ゆで)100gあたり308kcal・脂質30.0gと、胃のなかで最も高脂質・高カロリーです。ここで気をつけたいのが焼き加減。焼きすぎると脂が抜けて硬くゴムのようになってしまうのがギアラやハチノスにありがちな失敗です。原因は、下茹で済みのものを正肉と同じ感覚で長く焼いてしまうこと。対策は、表面がふくらんで軽く焦げ目がついたらすぐ引き上げること。脂を落としすぎないのが、プリッとした食感を守るポイントです。
腸・心臓・肝臓はここが違う|マルチョウ・シマチョウ・ハツ・レバー
胃の次は、腸と赤モツの代表格です。腸系は脂の甘みとプリプリ感、心臓や肝臓は肉に近い食べ応えと栄養価が持ち味。ここを知ると、ホルモンの部位一覧のほぼ全体をカバーできます。系統ごとに見ていきましょう。
マルチョウとシマチョウ、小腸か大腸かで脂の量が変わる
マルチョウは牛の小腸で、脂が濃厚でジューシー、ぷりっとした食感が最大の魅力です。裏返して脂を内側に閉じ込めた状態で提供されることが多く、噛むと脂の甘みがあふれます。シマチョウは大腸で、表面の縞模様が名前の由来。「テッチャン」とも呼ばれ、小腸より脂が少なく、厚みと歯ごたえが強いのが特徴です。成分表では小腸(生)268kcal・脂質26.1g、大腸(生)150kcal・脂質13.0g。同じ腸でも小腸のほうが脂もカロリーも高く、数字にはっきり差が出ます。脂をがっつり楽しみたいならマルチョウ、噛みごたえ重視ならシマチョウ、と使い分けるといいでしょう。
ハツ(心臓)はクセがなく、ホルモン初心者の登竜門
ハツは牛の心臓で、赤モツの代表。休みなく動く筋肉なので身が締まっており、サクッと軽い歯ごたえとあっさりした味わいが特徴です。血のようなクセは意外と少なく、ホルモンが苦手な人でも食べやすい部位。成分表では心臓(生)100gあたり128kcal・たんぱく質16.5g・脂質7.6gと、高タンパクでビタミンB群も豊富です。焼くときは火を通しすぎるとパサつくので、両面をサッと焼いてレア寄りに仕上げるのがおすすめ(内臓なのでしっかり火は通します)。塩やごま油、レモンとの相性が良く、噛むほどに軽い旨味が広がります。「ホルモンデビューは何から?」と聞かれたら、まず名前に挙がる定番です。
レバー(肝臓)は鉄分の宝庫、でも生食は禁止されている
レバーは牛の肝臓で、濃厚でねっとりした食感と、鉄分・ビタミンの豊富さが際立つ部位です。成分表では肝臓(生)100gあたり119kcal・たんぱく質19.6g・脂質3.7g、さらに鉄4.0mg、亜鉛3.8mg、ビタミンA(レチノール活性当量)1100µgと、栄養面ではホルモンのなかでもトップクラス。カロリーが低く高タンパクなのも見逃せません。ただし注意が必要なのは食べ方です。牛レバーの生食(レバ刺し)は、2012年7月から食品衛生法で販売・提供が禁止されています。理由は後半の安全パートで詳しく触れますが、レバーは必ずしっかり加熱して食べる部位だと覚えておいてください。加熱しても、下味をつけたレバニラや甘辛焼きなら濃厚な旨味は十分楽しめます。

・胃系(白モツ):ミノ/ハチノス/センマイ/ギアラ=コリコリ〜プリッと
・腸系(白モツ):マルチョウ(小腸・脂濃厚)/シマチョウ(大腸・歯ごたえ)
・赤モツ:ハツ(軽い)/レバー(濃厚・高栄養)/タン/ハラミ
カロリーで選ぶホルモン|57kcalから318kcalまで数値で比較

「ホルモン=高カロリーで太る」というイメージは、半分正解で半分間違いです。部位によってカロリーも脂質も大きく違い、なかには赤身ステーキより低いものもあります。ここでは文部科学省の成分表をもとに、代表部位のカロリーとタンパク質・脂質を並べて比較します。
【お肉の教科書調べ】部位別カロリー・栄養比較表
下の表は、日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の数値を、カロリーの低い順に並べたものです(※印は「ゆで」、他は「生」の値。可食部100gあたり)。同じホルモンでも、センマイの57kcalとタンの318kcalでは5倍以上の開きがあります。数字で見ると、部位選びがそのままカロリー管理になることがよくわかります。
| 部位(分類) | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 |
|---|---|---|---|
| センマイ(第三胃) | 57kcal | 11.7g | 1.3g |
| レバー(肝臓) | 119kcal | 19.6g | 3.7g |
| ハツ(心臓) | 128kcal | 16.5g | 7.6g |
| シマチョウ(大腸) | 150kcal | 9.3g | 13.0g |
| ミノ(第一胃)※ | 166kcal | 24.5g | 8.4g |
| ハチノス(第二胃)※ | 186kcal | 12.4g | 15.7g |
| マルチョウ(小腸) | 268kcal | 9.9g | 26.1g |
| ハラミ(横隔膜) | 288kcal | 14.8g | 27.3g |
| ギアラ(第四胃)※ | 308kcal | 11.1g | 30.0g |
| タン(舌) | 318kcal | 13.3g | 31.8g |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(可食部100gあたり/※はゆで、他は生)
実は「センマイはヒレより低カロリー」という逆転現象
意外と知られていませんが、センマイ(第三胃)の57kcalは、牛のヒレ肉(赤身の代表)よりも低い数値です。ヒレは牛肉のなかでも低カロリーな部位として知られますが、それでも100gあたり200kcal前後。センマイは脂質がわずか1.3gしかなく、高タンパク低脂質の優等生なのです。「内臓は脂っこくて太る」という思い込みだけで避けていると、こうしたヘルシーな部位を見逃してしまいます。もちろんマルチョウやタンのように高脂質な部位もあるので、大切なのは「ホルモン全体」ではなく「部位ごと」に判断すること。カロリーが気になる日はセンマイやレバー、ハツを選ぶ、という考え方ができるようになります。
シーン別・目的別、あなたに合うホルモンの選び方
同じホルモンでも、目的によっておすすめは変わります。カロリーを抑えたい人は、センマイ・レバー・ハツといった低脂質・高タンパクの赤モツや胃系が狙い目。脂の甘みをがっつり楽しみたい人は、マルチョウやギアラ、タンといった高脂質部位が満足度高め。ホルモンが初めての人は、クセの少ないハツ・ミノ・センマイから入ると失敗しません。お酒のアテを探している人は、噛みごたえのあるシマチョウやコリコリのミノが向いています。カロリーだけ、クセだけで選ぶのではなく、「今日はどう楽しみたいか」で部位を選ぶと、ホルモンの奥深さがぐっと身近になります。
豚・鶏にもある!ホルモンの部位一覧を動物別で整理
ホルモンは牛だけのものではありません。豚や鶏にも内臓系の部位があり、焼き鳥やもつ煮込みでおなじみのものも多くあります。牛と名前が似ていても部位が違うことがあるので、動物別に整理しておきましょう。
豚のホルモン|ガツ・シロは牛とどう違う?
豚のホルモンで代表的なのが「ガツ」と「シロ」です。ガツは豚の胃で、英語で内臓を指す「guts」が語源とされ、コリコリした歯ごたえと淡白な味わいが特徴。クセが少なく、ホルモンが苦手な人でも食べやすい部位です。シロは豚の大腸で、焼くとコロコロした見た目になることから「シロコロ」とも呼ばれ、弾力のあるぷりぷり食感が魅力。もつ煮込みの主役もこのシロです。牛の胃が4つに分かれるのに対し、豚の胃は1つなので、ガツは牛のミノほど細かく分類されません。名前が似ていても、豚は豚の分類で覚えるのがポイントです。

スーパーの精肉コーナーやお肉屋さんのショーケースで、「豚ハラミ」「豚サガリ」というラベルを見かけて、いったいどこの部位なんだろう、と足を止めたことはありませんか…
鶏のホルモン|砂肝・ボンジリ・レバーは焼き鳥の定番
鶏の内臓も立派なホルモンです。砂肝は鶏の胃の一部(筋胃)で、主に筋肉でできているためコリッとした歯ごたえとあっさりした味わい。低脂質で、ビールのアテとして根強い人気があります。ボンジリは鶏の尾の付け根の肉で、脂がのってジューシー、1羽からわずかしか取れない希少部位です。鶏レバーは牛レバーと同じく鉄分が豊富ですが、こちらもE型肝炎などのリスクから生食は避け、しっかり加熱して食べるのが基本。焼き鳥屋のメニューは、実は鶏ホルモンの一覧そのものと言えます。
「同じ名前でも別部位」に注意、豚ハラミという例外
動物をまたぐと、同じ名前でも指す部位が違うことがあります。たとえば「ハラミ」は牛でも豚でも横隔膜を指しますが、豚の場合は1頭から取れる量がごくわずかで、牛ハラミより希少。味わいも脂ののり方も異なります。また、牛の「タン」と豚の「タン(豚タン)」も、同じ舌ですが大きさや食感がまったく別物です。動物別のホルモン一覧を見るときは、「名前」より「どの動物の、どの臓器か」をセットで押さえることが、混乱しないコツです。焼肉店やスーパーで表示を見たら、まず牛・豚・鶏のどれかを確認する習慣をつけましょう。
ホルモンを安全においしく食べる|生食のルールと焼き方のコツ
ホルモンは新鮮でも生では食べられない部位が多く、加熱が大前提です。ここは健康に関わる大切なパートなので、公的機関の情報にもとづいて正確に押さえておきましょう。あわせて、家でおいしく焼くコツも紹介します。
生食が禁止されている部位を正しく知る
牛のレバー(肝臓)は、2012年7月から食品衛生法にもとづき、生食用としての販売・提供が禁止されています。厚生労働省は、牛の肝臓の内部から腸管出血性大腸菌が検出されることがあり、現時点では生の牛レバーを安全に食べる方法がない、と説明しています。さらに2015年6月からは、豚の食肉および内臓(レバーを含む)についても、E型肝炎ウイルスなどのリスクから生食用の販売・提供が禁止されました。「新鮮なら生でも大丈夫」という考えは通用しません。ホルモンは、鮮度に関わらず中心部までしっかり加熱して食べる、と覚えておくことが何より大切です。
厚生労働省によると、腸管出血性大腸菌は少数の菌でも重い食中毒を起こすことがあり、中心部まで75℃で1分間以上加熱すると死滅するとされています。ホルモンは表面だけでなく中心までしっかり火を通し、生焼けを避けてください。体調に不安があるときや心配な症状が出た場合は、医療機関に相談しましょう。詳しくは厚生労働省「お肉はよく焼いて食べよう」をご確認ください。
下処理をサボると台無しに、臭みを消す基本手順
ホルモンでありがちなもう一つの失敗が、下処理不足で臭みが残ってしまうことです。原因は、内臓に残った脂や汚れ、水分をきちんと処理しないまま焼いてしまうこと。対策として、白モツ(胃腸系)は塩でよく揉んでぬめりを落とし、下茹でしてアクを取ると、臭みがぐっと減ります。市販のホルモンは下処理済みのものが多いので、その場合はキッチンペーパーで余分な水分を拭き取るだけでも仕上がりが変わります。レバーは牛乳や塩水に少し浸すと、独特の臭みがやわらぎます。ひと手間かけるだけで、家焼肉のホルモンは見違えるほど食べやすくなります。
部位で変える焼き方、脂系は「じっくり」赤モツは「サッと」
ホルモンは部位によって焼き方を変えるのが正解です。マルチョウやシマチョウ、ギアラのような脂の多い部位は、脂身側からじっくり焼いて余分な脂を落とし、表面がカリッとしてきたら食べ頃。焦りは禁物です。一方、ハツやミノ、センマイのような脂の少ない部位は、火を通しすぎるとパサついたり硬くなったりするので、両面をサッと焼く程度がベスト。共通するのは、網やフライパンを十分に熱してからのせること、そして中心までしっかり火を通すことです。下の手順を参考に、部位に合った火加減を意識してみてください。
まとめ:ホルモンの部位一覧は「胃・腸・赤モツ」で覚える
ホルモンは「クセが強い」「太る」と一括りにされがちですが、実際は部位ごとに個性がまったく違う世界です。まずは名前と場所を一致させ、クセの少ないハツやミノ、低カロリーなセンマイあたりから試してみてください。慣れてきたら、脂の甘いマルチョウやギアラへ。動物別に豚や鶏の内臓まで知れば、焼肉も焼き鳥ももつ煮込みも、選ぶ楽しみが何倍にも広がります。今日の一皿は、名前を確かめてから注文してみましょう。
※栄養成分は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年、食品安全に関する情報は厚生労働省の公表内容にもとづきます。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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